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2014年3月26日(水)
日米韓首脳会談検証 ▽ 本をめぐる危機と課題

ゲスト

城内実
自由民主党外交部会長 衆議院議員(前半)
陳昌洙
韓国・世宗研究所日本研究センター長(前半)
石井昂
新潮社常務取締役(後半)
高井昌史
紀伊国屋書店代表取締役社長(後半)
関川夏央
作家(後半)
市川真人
文芸評論家(後半)


前編

検証 日米韓首脳会談 その評価と影響
八木キャスター
「安倍総理と朴槿恵大統領の就任後初めての会談となったわけですが、城内さんはどのように見ましたか?」
城内議員
「昨年9月のG20、あるいは10月のAPECの首脳会談で、安倍総理と朴槿恵大統領は言葉を交わしているのですが、今回3者ということで、オバマ大統領が仲立ちをする形で、同じ席で首脳会談が行われたということは、まさに大きな第一歩だと思います。日本の立場というのは、常に対話のドアはオープンですから、首脳同士が胸襟を開いて、率直に、それぞれの立場で意見交換するというのが望ましいと思いますし、条件がないと会談に参加しませんというのは、ちょっとどうかなという感じはします」
反町キャスター
「胸襟を開いて、率直な話をし合うというのは一番いいことだと思うのが、この会談の少なくとも頭の雰囲気を見ていると、何かオバマ大統領が仲人さんで、初めて会うお見合いみたいな感じで、目を合わさないで話もしないみたいなギクシャクした関係というのは、これまでの日韓の歴史的な経緯を見ていても初めてではないかなと思うのですが、それだけ現在の日韓関係は異常な状況にあるという裏返しにしか見えなかった。そこはいかがですか?」
城内議員
「できたら、にこやかにやりとりしたかったというのがありますけれど、実際首脳レベル以外では、たとえば、政府の局長レベルとか、あるいは文化交流、人的交流というのは実際行われていますし、繰り返しになりますけれども、首脳レベルでは安倍総理、朴大統領、それぞれが総理大臣、大統領になる前は結構頻繁に会っていたわけですよね。ですから、全然知らないわけではないですから、ただ、私はハッと気がついたのは、韓国は大統領制ですよね。トップなんですよ、最高権力者です。日本は議院内閣制で、議会の中の多数党の中から選ばれていると。権力の強さというのは、それは韓国の方が圧倒的に強いです。だから、ちょっとした大統領の発言で支持率が乱高下するというもあるかなと。最初からハードラインで来ているのかなという感じがしますけれど、ただ、それにしても、異常な状態がずっと続いている。朴槿恵大統領は、中国の習近平さんとハルピンの安重根記念館についてやりとりをする。これは我々にすると非常に残念なことだなというふうに思います」

朴大統領の本音
陳氏
「朴大統領から見ると首脳会談が行われた経緯があるわけなんです。経緯があって、そのことから考えてみると、日本側が、韓国側が提案をしている条件について、1つしか飲めなかった。だから、不十分だったということを顔で表していると思うわけです」
反町キャスター
「その不満の表明が、安倍さんの韓国語の挨拶に対して全く反応せずに、斜めに下を見てじっと表情も変えずにいるという、抗議がそこに表われているということですか?」
陳氏
「ただ、本音はわかりませんけれど、韓国側の代表ですから、大統領は。その意味で、現在の日本側がやっている、妥協策については韓国は不安を持っているということを表しているかと思うんです」
反町キャスター
「その3条件というのは、河野談話をきちんと継承をするということ。もう1つは、靖国に2度と参拝しないということを約束すること。もう1つが慰安婦問題に関する日韓の政府間レベルの高官協議をきちんとやること。この3つの条件というものを韓国側が日本政府に出していたにも関わらず、結局安倍総理は日米韓の首脳会談の前には、河野談話を継承するということしか言っていない。残りの、靖国に2度と行かない、慰安婦の問題を政府間で協議する。この件についての回答がなかったことに対する抗議ということでよろしいですか?」
陳氏
「大統領の本音はわかりませんけれど、推測すると、それは首脳会談の場ですから、その意味では、個人としてはその前に安倍さんとよく会ったわけですから、知っている間だと思いますけれども、韓国の気持ちをとりあえず表しているということは間違いないと思いますね」
反町キャスター
「安倍さんの韓国語はパフォーマンスなんです、たぶん。一方はカメラの前では表情を変えず下しか見ない、にこりともしない朴大統領の姿勢もパフォーマンスですか?」
陳氏
「そういうふうに思った方がいいだろうと思います」
反町キャスター
「朴大統領の本音というのは?朴大統領は、日本語はある程度できるんですよね」
陳氏
「私はわかりません」
反町キャスター
「本当はある程度、会話をやりたいのが本音で、気持ちがありながらも、それぞれ背負ったものがあるので、安倍さんは安倍さんで、自分のこれまでのこととか、応援してくれた皆さんの気持ち、朴大統領は朴大統領で韓国の国民を背中に背負っていて、簡単ににっこりと笑って手を握れるものではないという、それがここに垣間見えたという、そういう理解がいいですか?」
陳氏
「そう思いますね。だから、このパフォーマンスを見て判断するよりも、その次の、本当の日韓関係を改善するために両国がどういう政策をしているかということを見るべき」

どうなる 今後の日韓関係
八木キャスター
「安倍総理は今回の首脳会談を受け、未来志向の日韓関係に発展させていく第一歩にしていきたいと語っています。そこで、今後の動きが注目されるわけですが、まずは慰安婦問題を話しあう、日韓の局長級会議が、4月中旬にも開催されるのではないかと、それから、今回の3か国首脳会談を受け、日米韓外相会談が開催に向けて動き出したとも言われています」
城内議員
「まだ私が把握している限りではいわゆる慰安婦問題について、日韓の局長級で話し合うということは全く決まっていなくて、一般論で言えば、日本と韓国の外務省の局長同士でいろいろな懸案事項について率直に意見交換をすることは、これまでもやっていますし、これからもやっていくわけですから、特に慰安婦問題だけに絞って局長級協議をやるということではないのではないかなと思います。たとえば、日韓の関係では、竹島問題もありますし、いわゆる日本海呼称問題とか、長崎の仏像盗難事件とか、いろいろな両国の懸案事項というのがあるわけですから、私の推測ですけれども、局長級、あるいは課長級で折に触れて協議をして解決を見出そうとしているわけですから」
反町キャスター
「ただ、慰安婦の問題というのは、日本政府はもう解決済みという立場ですよね。これは変わらない?」
城内議員
「ええ、昭和40年の日韓基本条約、日韓請求権協定で最終的に完全に解決されています。そういった中、ただ、そういった慰安婦の方々のいろんな痛みに対して民間で基金をつくって、あるいは総理からのお詫びの手紙も出して、そういう誠意ある対応をさせていただいているわけですから、これを1965年の請求権協定を白紙に戻すなんてことは、たぶん韓国政府も考えていないですから」
反町キャスター
「韓国側が望む慰安婦問題に関する高官協議。この中身は何を目指しているのですか?」
陳氏
「今の話を聞いたらば、1965年の協定で韓国側はその協定について文書を公開して、そのあとわかったことは、当時慰安婦のことについては全然想定もされなかった。だから、抜けている部分だということで、2005年の時に3点についてはまた協議をしなければならないんだという話をずっとやっているわけです、2005年から。その3点というのは、慰安婦のこと、それとサハリンの引揚者、原爆のことですね。それについて、日本側が現在、サハリンの引揚者については対応してくれるし、それと原爆についても対応してくれて、それは現在、争点になっていないんですね、韓国の中でも。政治的な争点になっていないわけです。ただ1つ、慰安婦のことはまだ争点になっているわけです。そのことについていろんな場で韓国側は協議をしたいという話をしているのに日本側は拒否しているということで、今回の首脳会談になってそれも条件の1つだったんです。それで慰安婦のことについてお話をしましょうということを前から話しているのに、一般論として局長級の会議をやりましょうということは、韓国がいつも主張していることに対して、日本側は対応をしてくれないということしか考えられないわけです。だから、その意味で、局長級の協議で慰安婦の問題をとりあえず話をする。そのことから対話が始まることになる。その次に日本側も話をしたいことは、徐々に話ができるんだと思います」

河野談話 検証の行方
八木キャスター
「今後日韓関係の焦点になりそうなのが、安倍総理が14日の参議院予算委員会で見直さないと明言した河野談話ですね。ところが、安倍総理の側近である萩生田光一自民党総裁特別補佐がフジテレビの番組でこのような発言をしています。『河野談話に関する検証作業で新たな事実が出てくれば、新しい談話を発表すればいい』という、この発言について菅官房長官は否定しているのですが」
城内氏
「萩生田光一代議士はまさに安倍総理の側近中の側近ですが、補佐官ではないんです。政府の人間ではなくて、あくまでも筆頭副幹事長という党の立場で、しかも、これは個人的見解として発言していると私は理解しています」
反町キャスター
「慰安婦に関する高官協議は、韓国側からそれをやるものだという前提で、日本側ははっきりとやると約束はしていないし、やるとしても、いろんなテーマから話し合う必要があると。その場としての高官協議という話が確かに出ています。そういう条件がまず1つあって現在、この慰安婦、河野談話の受け止めやら、何やら、いろいろな問題が起きていく中で、ポイントは、これだけこれまでのような状況が続くと、これまでと変わらないので、実際に現在3か国が会って、今度は日韓の2か国の首脳会談ができるのか、できないのか。両方ともやりたいと言っていながら、進むのか、進まないかの1点なんですよ。日韓首脳会談に向け、片づけなければいけない条件、障害は、どういうものかがクリアになったら、朴槿恵大統領と安倍総理が2人でしっかり話し合えるような状況になると思いますか?」
陳氏
「だから、現在韓国側は慰安婦のことについて優先して、そのことについて日本側が誠意を見せてくださいと言っているわけなんですね。すぐ解決してくださいというよりも協議をしながら、そこで良いアイデアを、お互いで出してやりましょうということですから、それについては日本側も真面目に対応すべきだと思いますね」
反町キャスター
「結論が出なければ、首脳会談に行かないという意味ですか?」
陳氏
「そうではないんです。結論を出したなら首脳会談をやる必要ないです。もう日韓関係が良くなっているのですからね」
八木キャスター
「ただ、協議を始めますということが必要だということですか?」
陳氏
「ただ、協議を始めるということに真面目に対応することを見せてくれれば、それによって準備の作業を整えて、そのあとに首脳同士が対話をするということで、いろんな話ができるんだと思いますね。だから、それが条件だと思ったら大間違いだと思います。なぜかというと、日韓関係というのは歴史認識のことで、日本側がいつも談話を出して、そのことを前提にすることではないのですが、そのことから一緒に話ができると、信頼を持つ相手だと思っているわけですね。それを現在の段階で、河野談話については継承するのか、しないのかという曖昧な形になっていることは、韓国にとって日本側を本当に信じていいのかということになるわけですね。だから、もちろん、安倍総理は見直しをしないんだという話をするんですけれど、その言葉をもうちょっと誠意を込めて話をすると、そのまま継承するんだと話をしたらすっきりするんだと思います」
城内議員
「なぜ河野談話を継承するのかというと、当時関わった石原信雄官房副長官が日韓ですり合わせがあったと思われると言った。これは非常に重要なことですから、事実関係はどうかと。国民の知る権利もあるし、これは非常に重要なポイントなので、そこはうやむやにするのではなくて、事実関係の検証をしていけないと言われることは、非常に私には理解できないんです」
反町キャスター
「慰安婦の話ですが、日韓の高官協議をやって、その中で慰安婦問題の話をすることを完全に拒否するものではないという姿勢は、日本側は出せると思うんです」
城内議員
「はい」
反町キャスター
「それで、たぶんOKではないかなという印象を僕は持っている。ただ、過去において慰安婦の問題を日韓の間で話してきた時に、これでもうOKだ。二度とこれ以上はいいですよというふうに河野談話を出した時に言った。アジア女性基金をつくる時も、これをやってくれたら大丈夫だと言っておきながら、挺隊協問題が出たりして、それで、受け取りを拒否した問題があるので、それでまた新たに問題化する。これで本当に終わりになるのかどうかという見極めがつかないから難しい問題だと思うんですけれども、たとえば、日韓の間でもう一度、慰安婦の問題を話すことになった場合、本当に最後の話になるかどうかという確証も持てないままに、日本政府は入っていけるものですか?」
城内議員
「まさにその通りで、わかりました、これで最終的に決着しましょうと言って、私の推測ですけれども、これまで何回もやってきて、また白紙に戻ってという繰り返しなわけですよね。完全に解決した、日本側としてはですよ。韓国側から見たら、誠意がないと言われたら、もう身も蓋もないんですけれども。私達としては最大限誠意のある対応をさせていただいているわけですから」
陳氏
「日本側が誠意を持って、アジア女性基金のことについても、よくがんばったと思いますけれども、でも、現在は政治争点になっていて、それが国際的に問題になっているわけですね。そのことを考えてみると、協議をしないということは、おかしいんだと思います。国際問題になって、だんだん日本のイメージが悪くなるんです。韓国側はもちろん、非難をすることもあるのですが、それよりも国際社会から見ると、現在日本が言っている論理は通じないんだと思います」
八木キャスター
「韓国が国際的に訴えてきたところがあると思うのですが、終わったと思うことが、またという心配についてはどう考えますか?」
陳氏
「私が思うのは、慰安婦のことを制度的な面に入れて、それが政治的な争点になりにくくすれば、日本側が憂慮することは終わりになるんです。これまで日本と韓国は協議をして、それを制度的に入れて、その中で政治的な争点になりにくくしてはいなかったんですね。それを制度的なことで抑えることはできなかった。でも、今回は日本側もアジア女性基金の失敗もあるし、韓国側もよく知っているわけですから、それを制度的な面で、慰安婦の問題を入れれば、そのあと政治争点になりにくいです。そうすると、2度と(政治争点にならない)。峠を越えているわけですから」
反町キャスター
「韓国政府も組み込んだ救済組織をつくる。その1点になってきますね」
陳氏
「そうです」
城内議員
「慰安婦問題を条件に首脳会談をするしないというのは建設的ではありません。竹島問題について協議をしてくれるのだったら、日韓問題でやってくださいと、日本が言ったらどう思います。だって、私達の立場は歴史的にも、国際法上も、竹島は我が国固有の領土であるわけです。そんなことを言ってないわけですから。まさに、東アジアの安全保障関係が厳しくなっている中で胸襟開いて、いつでも対話のドアはオープンなのだから、韓国の側から歩みよっていただいて、首脳会談をして建設的な未来志向な関係をつくっていくことは、お互いのためになるということを強調させていただきたいと思います」


後編

本の危機と今後の課題 出版不況の原因
八木キャスター
「大型書店でも厳しい状況だと実感されていますか?」
高井氏
「やはり厳しいですね。ピーク時の2兆6000億円の時、うちのお店の売上げが584億円。2013年は579億円で横ばいですよね。だけど、37店から64店に増えて、かつ1万1009坪から、3万0089坪ということで相当坪数が増えていますね。たとえば、新宿を取り上げてみますと、新宿は1996年119億円、2013年107億円。これは1店から2店になりましたから、1030坪から2813坪。会社全体では1070億円から1071億円、見事に横ばいなんですけれども、紀伊国屋は本屋だけではなく、営業は外商が4割、連結をしていませんけれども、海外の売上げが170億円ぐらいありまして、お店の不況、書籍の不況(はありますが)、営業というのは大学とか、学校の図書館とか、研究機関等に洋書を主体に売っている。それから、海外への進出がアジアで26店舗も出していますから、そういうところで凌いでいるかなということで、お店に関しては大変な不況産業の真っ只中にいることは事実です」

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石井昴氏の本が売れない理由は
『1.Web社会の到来 2.公立図書館の進化 3.新古書店の隆盛』
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八木キャスター
「公立図書館の進化とはどういうことですか?」
石井氏
「公立図書館のサービスが異常に良くなったんですね。これ自体が別にいかんということではないんですけれど、もともと公立図書館というのは無料で貸し出しをやっていますから、その貸し出しがすごく便利になった。かつ住民達の拠点みたいな形になって、明らかに役割が変わってきたんです。そういうこと自体は構わないのですが、相変わらずベストセラーの複本を多く貸し出されているということが問題だろうという話ですね」

図書館”複本”の功罪
石井氏
「出版社が本をつくり、値段をつけます。だいたい初版というのは9割が売れてトントンの値段をつけます。だから、最初の初版本というのは、本屋さんに見本で配っているようなものなんですね。現在平均返本率は40%ぐらいですから、ほとんどが赤字なんです。本の校閲をする人達はうちの場合だと50人ぐらい抱えていますから、その人件費。新潮本誌とか、文芸書は年間3億ぐらいの赤字なんですね。ほとんど全部赤字なんです。何でやっているのという話ですよね。なぜかと言うと、増刷できる本があるからなんです。本は増刷することで儲けが出るんですね。だから、新しい作家も売り出すことができるし、あらゆるビジネスと言いますか、本を巡ってのお金が回転しているわけです。だけれども、ベストリーダー100で、ものをタダで貸し出されてしまうと、卵でたとえて考えると、卵をタダで配ると住民の方は喜びますよね。彼らは住民にサービスと言っているわけですから、いくらでも住民サービスしてください、卵をタダで配ってくださいと、ニワトリが死んだらどうするのですかという話ですよ。ベストリーダー100というのは、黄金の卵です。その黄金の卵の順位が1位、2位、3位みたいな形で複本を多くして貸し出されると、お金が入ってこないから、作家にも印税が払えない」

図書館サービスと新刊本
石井氏
「ざっくり言います。現在書籍が6億8000万冊ぐらいですか、年間で。貸し出し冊数は7億冊なんですよ。つまり、図書館の貸し出しの方が全体として、新刊の販売冊数より多くなって、逆転してしまっている」
市川氏
「図書館というのはもともとはある種、国であるとか、自治体とかの文化政策と当然密接に結びついていますから、どういう本が読まれてほしいか、そういうアーカイブがその国の文化を育てるかということだったと思うんです。売れない小説家達の本を図書館に入れるのは良いことだというのは、それによってアーカイブができていくから。ところが、放っておいても目に見えるベストセラーを、顧客満足を前提に図書館が入れてしまうと、図書館の役割そのものとして良いのだろうかという、その問いだと思うんですね」

若者の読書離れ
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◎高井昌史氏の本が売れない理由は
『若い人の読書離れ』
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高井氏
「これは何とか解決できないかなと。40.5%の大学生が読書をしていないと。中学受験をする親は本を読んでいると中学に受からないよと言う。小学校4年生ぐらいから、確かに良い中学に行こうと思うと受験勉強をしないと、読書をしていては受からないですよね。中学、高校で朝読。大学生は、昔は読書会とかあったんですけれども、大学教育も教養教育と言っているのならば、本を読むことが教養教育ですよね。もう1回、社会全体が、家庭も学校も社会も、図書館も含みますけれど、皆が読書離れを食い止めて、さらに、読書の勧め推進運動をやっていかないと、先生方も読書をもっともっと進めなければ、我々本屋としても、メディアとしてもやらなければいけない。読書を勧めなければならない」

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◎関川夏央氏の本が売れない理由は
『ネットと貧乏』
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八木キャスター
「どういう意味ですか?」
関川氏
「インターネットは革命的な情報伝達手段です、これは否定できないのですが、結局そこは非常に速く伝達ができるのと同時に情報はタダである。文学も情報にすぎない。そうすると、お金がない青年達が本に代金を投じることができないので、当然の流れだと思います。むしろ一日の読書時間が0分以上ある大学生が6割いることにやや驚きました」
市川氏
「読書の定義が変わりつつあると言ってもいいと思います。書という言葉ですが、たとえば、本の売上げの減少率のデータを見ると、雑誌の減少率が著しく大きいです。本が売れない以上に、まず雑誌が売れなくなった。これはなぜかと言うと、雑誌というのはある程度情報を断片化して高速で伝えるものなので、最初にインターネットに置き換わるわけです。ところが、そうやって情報が断片化し高速で手に入るようになると、手に入る情報で満足していくようになるので、長いまとまりがあったものや、起承転結がしっかりしたものからだんだん離れていってしまう。つまり、社会と同じで本が読まれなくなってきたというよりは、我々の頭の中そのものが変化しつつあるというのが絶対にあるんです」
八木キャスター
「長編が読まれなくなる?」
市川氏
「そうです。長くて大きくて重たい物語は次第に読まれなくなる。ベストセラーで長いものもあるのですが、比較的に起伏が激しく、わかりやすくて、すぐ読める」
関川氏
「長編というよりか、人の物語に興味を失うわけですよ」
八木キャスター
「爆発的に売れているものがありますが、何でですか?」
市川氏
「必ずしもそれは本だけではないんです。社会現象的に人が買っているものを、自分も買おうという圧力が、情報伝達が速くなって、結構大きいんですよ」

本の危機と今後の課題 電子書籍の広がりと出版権
八木キャスター
「著作権法の一部を改正する法律案では、これまで出版社は紙の出版権しか持たなかったのですが、電子書籍の出版権が持てるようになるということなのですが」
石井氏
「1990年ぐらいから話があって、その度ごとに文化庁に潰されてきたんですね。こういう言い方をすると、文化庁や経団連の方は怒ると思うのですが、横やりをやって潰されてきたものが、今回紆余曲折があって、隣接権はダメ、それを著作権に新しくつくるのは筋が悪いと文化庁の方はおっしゃったんですね。その代わり、電子出版というのは考えると言って、あーでもない、こうでもないと分化審議会のようなものをやった挙げ句に、ほとんど経団連の案と同じようなのを今回法制化して出してきた」
高井氏
「電子書籍の場合、消費税は海外取引の場合は非課税なんですよ、私どもは5%のハンデを背負って競争をやっているんですよね。今度は8%ですよね。現在国会で、海外からのインターネットの取引による課税問題、国際間の問題ですから政治の方もやっとわかって、現在議論をして次の10%に何とかするよと。5%で大きなハンデあり、8%だったらこれは太刀打ちできないですよね」
反町キャスター
「関川さん、書く立場からすると電子書籍というのはどうなのですか?」
関川氏
「電子書籍でかなり読まれるのかということに関しては自信がない。おそらく読まれないだろうと。それはやはりベストセラーに非常に適合性が高い。だから、私どもはあまり関係がないというのが1つ。もう1つは、世界的な企業が日本の本を電子化する時に、たいてい本社を租税回避地に置くんですね、アイスランドとか。そうすると、税金を払わない。そのうえ消費税も払わない。非常に感心できない出来事がこれからもどんどん出てくるだろうと思います」
市川氏
「そもそも電子書籍とは何ぞやという話になるのですが、基本Web上にたくさんのテキストがありますから、電子書籍そのもの、書籍そのものを法で守ったところでその外側には無数のテキスト、小説、あるいは雑誌と競合するWebサイトがあるわけですよ。それで守れるかどうか、守るべきかどうかという議論に留まるのではなくて、もちろん、短期的にそれをしながらも長期的にはそうしたコンテンツに伍する、あるいは上回る魅力を持ったコンテンツをどうつくっていくかという問題に戻っちゃうんですよ。また、それも安く売るWebサイトといたちごっこになってしまう。そこは非常に文化の問題としても難しいところですよね」

石井昴 新潮社常務取締役の提言:『日本の出版文化と共生』
石井氏
「日本の出版文化というのは実は世界に冠たる(もので)江戸時代から続く文化でありまして、むしろ世界一進んでいると言ってもいいような財産。それがいろんな形に変化しなればならないことはしょうがいないことだと思うんですけれど、なるべく節度を持ってお互いにそういう文化を支えているんだという中で、著者も書店も出版社も図書館も新古書店も電子書籍を出しているところも共生しようという意見をお互いに言って、皆本が好きだ、本で自分の人生をつくってきたみたいな人達が、それに対して敵対する必要はない。何とか共生の道はないかということを日々考えています」

高井昌史 紀伊国屋書店代表取締役社長の提言:『本・文化・教育』
高井氏
「家庭教育、学校教育、社会教育、ここをもう一度考え直していこうということで、江戸時代、もっと前から続いた文化をもう一度育てていこうと。私は、先週ドバイに行ったのですが、ドバイには1800坪のお店があるんです。紀伊国屋の本店は1400坪ですから、それより大きなお店を5年前に出して、もちろん、置いてあるのは英米書が主体の80%で、日本の本は僅かです。しかし、日本のコンテンツの漫画、その他実用書を、民族衣装を着た子供達も本を一所懸命読んでいるんですね。ですから、アラブの春はもう少しかかるかもしれないけれども、そこから、教育、読書をする。そういったところから日本は勉強し直さなければいけないのではないかと感じました」

作家 関川夏央氏の提言:『つながりたがらない』
関川氏
「特に、若い人も含めて、今や中年までもですかね、インターネットで誰それとつながっていることが中毒のような状態になっていると思うんですね。これはあまり健康な状態ではない。私はつながるとか、絆とかの言葉の安売りは非常に不愉快です。むしろ、昔の人に学ぶ。人の物語に興味を持つ。そういうことが本質的には人間の健全な営みだと思います。むしろ、それだけを思いだせばいいのではないかなと考えます」