プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2014年1月28日(火)
鳥インフルエンザ急増 日本流入の可能性は

ゲスト

岡部信彦
新型インフルエンザ等対策有識者会議会長代理
長谷川秀樹
国立感染症研究所感染病理部部長

季節性インフルエンザ 今年の傾向と対策は
八木キャスター
「日本ではまもなく季節性のインフルエンザの流行がピークを迎えようとしています。一方、まもなく旧正月を迎える中国では鳥インフルエンザが急増していて、これから帰省や旅行による往来が激しくなる中で、感染の拡大が心配されているんですね。一言でインフルエンザと言ってもいろいろなタイプがあります。大きく3つに分けられるのですが、季節性インフルエンザ、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザです。まずは、季節性インフルエンザの患者数は1月の第1週はおよそ14万人だったのが、先週金曜日にはおよそ66万人までに増えました。今シーズンのインフルエンザの特長というのは?」
長谷川氏
「今シーズンの最大の特長は3種類の異なるウイルスが同時に流行を起こしてきているということがあります。ですので、一度罹ってしまっても、また別の種類のものに罹る可能性がかなり高いということがあります」
八木キャスター
「ワクチンをちょっと打ち忘れたという人もいると思うのですが、打っていれば全部に効くのですか?」
岡部氏
「1つのワクチンは3種類のウイルスでできているんですね。だから、A型の2つとB型の1つがもともと1つのワクチンの中に全部入っていますから、免疫としてはこの3つが立ち上がる。つまり、この3つに対して防ぐことを期待しているわけですね」
反町キャスター
「その3種類ずつというのが気になるのですf、いわば先読みをして、ヤマを張るわけですよね」
岡部氏
「サイコロを転がすわけではないけれど、一応理論的にいくつかのものをやって、毎シーズン、タイプの違ったウイルスが出てくるとすると、次のシーズンはこれが中心になるかもしれないからと言って、変えていくわけです。その変化がなければ同じウイルスでいいわけだから、それを材料にしてワクチンにする。そういう繰り返しが行われるわけです」
八木キャスター
「現在のところはその予想が効いていると考えていいんですか」
長谷川氏
「効いているといいますか、流行にあった3種類のワクチンが選ばれています」
八木キャスター
「抗インフルエンザ薬のタミフルが効かない場合があると聞いたのですが」
長谷川氏
「薬に対する感受性というのが調べられていまして、薬が効かなくなるような変化をしたウイルスというのがいくつか見つかっています。それが主流になってしまっているということではないので、抗ウイルス薬は現在のところ効果があると考えられます」
反町キャスター
「3種類のインフルエンザの中で、タミフルが効かないものがあるという意味なのですか?」
長谷川氏
「そうですね。調べたうちにいくつか効かない、変異を持ったウイルスが登場していると。昨年に比べて、昨年ももちろん、あったのですが、昨年に比べてそれが少し増えているといった状態です」
反町キャスター
「インフルエンザとちょっと違うかもしれませんけれども、抗生物質が効かなくなってくる、そのウイルスがだんだん増えているみたいな話を聞いたことがあるのですが、それと同じような感じですか。薬を使うとそれに叩かれ、ウイルスの方が強くなって、またいたちごっこみたいな、そういうことでいいのですか?」
岡部氏
「そういう可能性もあるんですけれども、インフルエンザのウイルスというのは、遺伝子がすごく変化しやすいウイルスなんですね。それはもともとそういう性質を持っているので。その中でタミフルを始めとするいろんな薬に効く構造があって、そこの変化がちょっと出たとすると、これが効きにくくなる。それはそういう薬をいっぱい使ったから、そういう耐性を持ったウイルスが増えてくるという考え方もあるし、突然変異で出てくるわけですから、ウイルスの方が勝手に変異をしてしまって効かなくなって、そのウイルスが増えてくるという考えもあるんですね。だから、メカニズムとしては、抗生物質による抗菌剤といいますけれども、それによる耐性と全く同じとは言えないですね」
八木キャスター
「一方、浜松市の集団感染から注目を集めたノロウイルス。今年、いろいろと注目されていますが、特に例年より多いと専門家からも見ても感じられますか?」
岡部氏
「いや、ノロウイルスはむしろ例年よりもだらだらと続いた感じで、通常ですと11月から12月にピークを迎えているんですね。インフルエンザが流行する時期になると収まっているのが、多くの場合ですが、今年はインフルエンザが遅く流行が始まって、ノロウイルスはいつまでも流行が続いていた感じで、たまたま1月は重なっているような感じがありますね」
八木キャスター
「長引いている?」
岡部氏
「ノロウイルスの方がですね」
八木キャスター
「それはなぜですか?」
岡部氏
「その理由はないですね。ノロウイルスも遺伝子が変化していくんですけれども、遺伝子の変化もありますけれども、今年が激しく遺伝子が変化したということではどうもないみたいなんですよ」
反町キャスター
「受け入れる我々の生活が変わったのですか?」
岡部氏
「ノロウイルスに対する免疫は、人間はあまり強く持てなくて、ノロウイルスに一度罹ると、たとえば、はしかにかかるともう罹らないというものではなくて、何べんも何べんも罹るんですね。そのうちに、だんだん免疫ができてくるような形で、その時に遺伝子が変わるとまた流行が始まるというのがあるのですが、今回の場合、確かに新しい遺伝子のものも見つかっていますが、それが主流になっているという状況ではないですね」
八木キャスター
「ノロウイルスについても気をつけることは何かありますか?」
岡部氏
「ノロウイルスも基本的には治る病気なんです、放っておいても。ただ、つらい、下痢が激しくって、気持ちが悪くって、熱も出るというのがあるので、激しい症状なので、つらいんですけれど、数日間で回復しますから、あまりパニックにならなくていいんですね。ただ、吐いたり、下痢をしたりしまうので体から水分がなくなってしまう。そうすると、どんなに軽い病気であっても水分不足というのは、症状をバーンと悪くしますから、その水分を補給するということが一番大切なことになりますね。それは通常の健康な方の場合であって、お年寄りであるとか、小さい子供さんが、その脱水によって、非常に体の方がまいりやすいのと、吐いた時に詰まっちゃうんですね。誤嚥といいますけれど、そのために窒息をするとか、そういう危険性があるので、お年寄りのノロは、特に気をつけた方がいいというのがあります」

中国で感染拡大 鳥インフルエンザの現状
八木キャスター
「昨日までに浙江省で、H7N9型の鳥インフルエンザ、鳥から人に感染する鳥インフルエンザウイルスによって12人の死亡が確認されたと伝えていまして、これで今年に入ってからの死者が22人となっているんですね。またググっと今年に入って22人とあるんですけれども、なぜこれまで、再び流行をしているのでしょうか?」
岡部氏
「これは想定内と言えば想定内で、昨年の3月、4月ぐらいですか、鳥のインフルエンザH7N9型が話題になってぐっと増えてきているんですね。鳥のインフルエンザでもひところ大きく話題になったH5N1型というタイプは、鶏がすぐ死んでしまうようなので、症状として見分けやすいんですね、どこにあるのかということが。ところが、このH7N9型は、鳥、鶏に感染しているのですが、病気がそんなに目立たない。と言うことは、どこにいるかわかりにくいわけです。初夏の段階で中国は鶏から人へうつるのを防ぐために、中国のマーケットでは肉を売っているのではなく、鳥そのものを売っているので、それを止めて、それから養鶏場などの処分をやって、鶏から人への接触の機会を断ったわけですね。それでずっと少なくなってきているというのが、夏から秋へかけてのことだったのですが、想定内というのは、鶏も全部処分をしているわけではないし、死んだ鶏だけを処分するならばわかりやすいけれども、生きていて、元気でいて、ウイルスを持っているけどわからないわけですよね。そうすると、それがだんだん現在のシーズンになってきて、鳥の中でも溜まってくると、母数が増えてくれば、偶然に人に罹ってくるチャンスもあるので、これはそのうち増えてくるのではないかと言っていたのが、ぐっと増えてきたと。もう1つは、中国側も相当、真剣に検査をやっているし、数も数えようとしているわけです。そのためにかつてよりは検出、検知の度合いが早くなってきているというのもあると思います」
八木キャスター
「鳥から人に感染した場合は、症状としては季節性インフルエンザと比べると重い?」
岡部氏
「現在の段階ではそうだと思うんですね。こういう場合には、重症者が目立ってくるので、重い人ほど早く見つけて検査するわけなので、実は周りにどのくらい軽い人がいるかというのが、たとえば、ある村中を全部血液の検査をするのはなかなか難しいわけですよね。だから、どのくらい軽い人がいるかというのはよくわからなのではないかと思います」
反町キャスター
「そうすると感染の規模、スピードはまだ予測できない?」
岡部氏
「感染の広がり方は、人について言えば、少なくとも人から人には広がってないんだから、いわゆる季節性インフルエンザのように、わっと広がる状況は、現在のところはないと思いますね」

日本流入の可能性は
八木キャスター
「日本に飛び火する可能性ということについてはどう見ていますか?」
長谷川氏
「たとえば、中国で感染した人が帰国して日本で発症するということは起こり得ると思います」
八木キャスター
「それは人から人になる?」
長谷川氏
「いや、人から人にではなくて、たまたま鳥。これまでのケースというのは、ほとんどが鳥、生きた鳥との接触があったケースですので、たまたま、その鳥のウイルスを曝露された人が罹って、帰国して発症するまでの間、時間がありますので、国内で発症するという可能性は否定できませんし、鳥の世界では中国の本土の中でも、かなり広域に渡ってウイルス自身が存在していますので、渡り鳥を介して国内の鳥に入ってくるという可能性はあると思います。ただ、日本では市場で生きた鳥を売っていて、その場でさばくとか、家庭で鳥をさばくという習慣はないので、曝露という危険は中国に比べるとかなり低いと考えられます」
八木キャスター
「鳥インフルエンザの人から人への感染は現在確認されていないということでいいんですよね?」
長谷川氏
「そうですね、ほとんどが鳥から人のケースで、限局的にいくつかあるという程度と聞いています」
岡部氏
「それはH5」
反町キャスター
「H5でも、H7でも」
岡部氏
「中国の場合ですよね」
長谷川氏
「中国の場合。そうです。限定的な感染ということですけれども、基本的に人から人へうつるウイルスになるためには、季節性インフルエンザと同様、鼻や喉に、いわゆる上気道といわれるところで増えなくては人から人にはいかないんですね。現在、中国で起きているH7N9というウイルスは、上気道よりも重症化している、亡くなっているのはウイルス性の肺炎と言って、肺にウイルスが感染して重症化している。鳥のウイルスというのは、上気道、人の上気道よりも肺の方で増えやすい、感染しやすい性質がありますので、そういったことで致死率が約25%ぐらいというような通常の季節性インフルエンザよりも高い致死率になっているということがあります。ですから、そういう状態の場合には、人から人にむしろうつりづらいという特徴になります」

政府による初の訓練
八木キャスター
「日本政府は、今月21日に海外で新型インフルエンザが発生したことを想定した訓練を初めて行ったんです。海外で新型インフルエンザが発生した直後を想定しまして、安倍総理をはじめ閣僚らが出席する対策本部の訓練、また各省庁や都道府県、製薬会社や医療機関などを含めた100の全指定公共機関が参加した連絡訓練も行って、国内感染が発生する前の初動対応までを訓練したのですが、なぜ現在新型インフルエンザの対策訓練が行われたのでしょうか」
岡部氏
「現在、急に話が持ちあがったわけではなくて、2009年の、当時新型と言われたウイルスが出てきて、それでパンデミック、世界中で流行したわけですね。その時にはいいところもあったけれども、それぞれ反省点もあるわけです」
八木キャスター
「概要は4月にメキシコで豚から人へ感染していたインフルエンザの、人から人への感染が確認されて、WHOがパンデミックを宣言して、それによっていろいろな対策ということになったんですけれども、終息宣言されるまでの日本での累計の患者数、推計およそ2100万人。死者は200人弱に達しました。当初、豚インフルエンザと言われたものですよね」
岡部氏
「はい、そうですね。それが発生して、ただ、日本では二千数百万人の患者さんが出たというふうに計算上出ているのですが、死亡者が200人前後ぐらいだというのは、むしろ世界では断トツに低いんですね。アメリカの方はもっと人数が多いと。先進国の中では、日本は死亡者ということでいえば低かった。ある意味では軽く済んだという印象が残ったりするのですが」
八木キャスター
「うまく対応したと?」
岡部氏
「実は、重症者はいるし、それから、相手に応じて、いろいろとこちら側も柔軟に変えなくてはいけないわけですね。たとえば、重ければ、こういう対策を取らなくてはいけない。軽いのならば、それをゆっくりするとか、そういうようなことを、本当は予め、たとえは悪いのですが、地震とか、津波でも、大きいものへの対処が全てではないわけで、軽い場合はこういうふうにしようというのを決めておかないと対処できない。それが前回の時は予めやっておいたものが、どうもきつめのもので全部動いてしまったというような反省点もあるんですね」
反町キャスター
「水際とか、そういうオペレーションみたいな?」
岡部氏
「水際作戦も含めて、全部がそうですね。今度の訓練というのは、自治体レベルでやるとか、病院とか、あるいは保健所とか、そういうところではこういうトレーニングというのは時々やるのですが、内閣というのは大きい形で、これが出たらどういうふうになるのかというシミュレーションをやったというのが大きいポイントになっていると思うんですよ」
反町キャスター
「はじけてから対応するのではなく、それより前にやることがいっぱいあるだろうに、何で今回はそういうはじけた時の訓練を敢えてやるのですか。何か敢えてショーアップして、こういうふうに訓練しますというのではなく、事前にこういうことをやるんですよということを自治体とかに浸透させることの方がピンとくるような気もしたのですが」
岡部氏
「たとえば、新しいインフルエンザが出て、流行する時の基本的なやり方であるとか、基本行動計画といたようなもの、それから、発生した時のガイドラインですとか、それはできつつあって、それは国のものができ、自治体がそれをつくっている時であって、そういう準備段階でできるものは少しずつステップを踏んでいっているわけです。だから、いきなりあれだけポンと出たわけでは決してないんだけれども、変な言い方かもしれないけれども、自治体がそういうことをやっているのに、国のトップがやっていないのはどういうわけだという考え方もあるわけですけれど。あれが実際に起きるかどうかは別にしても国のトップに立つ方はそういう時に判断をしなくてはいけないのだから、そういうものを味わっていただくというのがシミュレーションの目的だと思うんですね」

2009年発生時の教訓
八木キャスター
「いろいろと対応に当初追われたということだったのですが、現在その教訓からして、更新をしておいた方がいいことは?」
長谷川氏
「検査をして、早く見つけるという立場からすると、我々の方はその科学的なデータを出して、どういうウイルスがどこで見つかったとかという情報を出して、今度はどういう行動をそれによって決定するかところまでは、我々噛んでいませんので、そこらへんに、どのように有効に利用されるかというところだと思うのですが、その判断されるところが前回はちょっと過剰に病原性が見積もられていて、過剰な反応になってしまったということだと思いますけれども、実際に起こってみないとどれぐらいの病原性かということはわかりません。実際にメキシコで報告されていたのと比べると全然違うわけですよね。実際、国に入ってきた時のものが」
反町キャスター
「日本に入ってきた時点で変異していたのですか?」
長谷川氏
「いや、そういうことではなく、医療体制とか、致死率においても全然諸外国の報告と違う結果になっていますので、そういったところで難しいとは思うんですけれど」
反町キャスター
「見極めですね」
長谷川氏
「はい」
岡部氏
「前の時に、そういうものを見極めるのは、メカニズムとしてどういう人達が集まって、見極めるというところはできていなかったんですよね、2009年の場合には。それが1つの反省点でもあって、もう現在の時点で見極める状態ではとてもないわけですが、こういうグループの人が集まって、検討をして、今言った検査の結果とか、病気の状態であるという情報をここで集約して、ここで、ある専門家グループですね。これを決めて、それを国に提言するということは、今回、決まったことなんですね」

現在の政府の体制は
反町キャスター
「その専門家グループには、政治家はメンバーに入っているのですか」
岡部氏
「入っていないです。これは専門家グループです」
反町キャスター
「それが官邸なり、政府に対して、こういう状況ですというふうに報告するわけじゃないですか」
岡部氏
「それが十数人いるわけですね」
反町キャスター
「その中の判断というものがきちんと政治に反映されるかどうかというのは、その部分のメカニズムとしてはできているのですか?」
岡部氏
「はい。だから、このグループの責任も重いと思うのですが、私もその中の1人に入っているんですけれど、ただ、そこに適切な情報がちゃんと入って来ないといけないので、それだけ結果であるとか、さっきの患者さんの情報、症状であるとか。国内だけではなくて、外国でおそらく出るとすれば、外国の情報が非常に重要になってくるんですよね。2009年の時に一番わかりやすかったのは、WHOが中心になって、数十か国を集めて電話会議をやったんですよ。それでだいたいの検討がついてきたというのはあるし、そういう情報の共有ですね。共有するということはこちらの情報を出さなければいけないわけだし、そういうやりとりのメカニズムをつくっていかなくてはいけない」

新型インフルエンザ対策 ワクチン開発の現状
八木キャスター
「ワクチンは新しいウイルスが発見されたらつくるという追いかけっこの形でしかないのですか?」
長谷氏
「そういうこともありますけれども、ただそういったものにも対応できるようなものも必要ですし、現在の季節性のインフルエンザでも決して満足いくものではないので、もっと効果の高いものが必要だと考えています」
反町キャスター
「追いかけっこの終止符を打つような方法はないのですか?」
長谷川氏
「完全に終止符を打つことはできないにしても、ある程度似ているウイルスの場合には防御できる方法を一生懸命考えて、次世代のワクチンとして開発しているところです」
反町キャスター
「インフルエンザに感染する粘膜は、鼻の粘膜だけなのですか?」
長谷川氏
「鼻や喉の粘膜ですが、粘膜免疫のシステムは1か所の粘膜で免疫をつけると全身の粘膜が保護されることが知られています。ですから、鼻であっても消化管などにも免疫が準備されるということが知られています」

次世代ワクチン実用化はいつ
八木キャスター
「実用化はどのくらいで?」
長谷川氏
「良く聞かれるのですが、目標としては5年以内です」
反町キャスター
「アメリカやヨーロッパの製薬会社も同じことをやっているのでは?」
長谷川氏
「アメリカは自然感染を利用して、弱毒生ワクチンという病気を起こりづらくしたウイルスを使って、粘膜の免疫を誘導する方法をとっていまして、それがフルミスト、生きたウイルスを使ったワクチンです。これは米国で2003年に認可されて、一昨年、ヨーロッパの方でも承認されて使われ始めているのですが、生の生きたウイルスを使うので、適用年齢が以前は5歳~49歳だったのですが、多少拡大され2歳~49歳の健康な人に限るということになっていますが、インフルエンザで本当に必要なのは高齢者の方と乳幼児の方ですので、そういった本当に守らなければならない世代というのが現在のところ、このワクチンではまだできない。我々は生きていないウィルスワクチンを使って感染の時よりもそれ以上に免疫を誘導し、感染をブロックできるもの、目標としてはきちんとワクチンを打てば流行がなくなるようなワクチンを目指しています」
反町キャスター
「経鼻タイプのワクチンを開発しているのは日本だけなのですか?」
長谷川氏
「海外でも既に同じことをやっていました。実際スイスでは2000年頃に実用化しかけたのですが、ワクチンの中に含まれていた成分の影響で顔面神経麻痺という副反応が一部の人で出てしまったために、頓挫してしまった経緯があります。ですから、我々も安全性には気をつけて進めるように考えています。一度そのようなことがあるとストップしてしまいますので」
反町キャスター
「長谷川さんの会社が製品化する前に、海外の製薬会社から経鼻タイプのワクチンが発売される危険性はないわけですか?」
長谷川氏
「現在のところ、おそらくないと思います」
岡部氏
「単純なことを言えば、子供も大人も痛くないので非常に良いです。針や注射器のゴミが少なくなるというメリットもあります。現在のワクチンは非常に限られたタイプにしか、あたる、あたらないという問題が出てくるのですけれども、今度はカバー範囲が広くなっているから多少のズレに対し、進めることができるだろうと。おそらくワクチンをつくる過程でも、これまでは卵を使用していたので卵がないとワクチンがつくれない。そのためには、ひよこを育てなければならない。しかし、細胞というものを揃えておけば、ある程度、生産効率が良くなるとか、そういう工夫の積み重ねができてきているわけです。それは残念ながら、全てが現在、目の前に出ているわけではないけれども、諦めることなく、やっていかないと次の世代に残すか、我々の尻尾の方に残すか。それはちゃんと進めていかなければならない。進めるには、膨大なお金と、膨大な人の力がいる。もう1つはこういう新しいものができた時は、安全性ということを長谷川先生も強調されましたけれども、安全だと思いながらも人に協力を求めてテストをしなければならない。そういう方が協力してくださるから、新しいものができてくるわけで、自分だけいい思いをするのではなくて、そういう努力の積み重ねがあるということも理解していただきたいと思います」

日本の感染症対策 風しん大流行の背景
八木キャスター
「風しんがなぜ急に増えたのでしょうか?」
長谷川氏
「罹りやすい世代の人達でワクチンを受けていなかった人達がいて、その人達の間で流行してしまったというのが一番の原因だと思います。具体的には、昔は女性しか、風しんのワクチンは受けていなかったわけです。男性の受けていない人達がそのまま大人になってしまって、大人の中で風しんが流行してしまった。昔は風しんは子供の罹る病気だったのですが、現在22歳以下のお子さん達は、ほとんどがワクチンを打ってきた世代で子供での風しんは起こらなかったのですが、大人の世代で受けていなかった、特に男性に職場等で流行ってしまったのが最大の原因だと思います」

日本の感染症対策 風しんの流行を防ぐには?
八木キャスター
「早期に先天性風しん症候群をゼロにし、2020年までに風しんの排除を達成するということですが」
岡部氏
「妊娠した方から、全部先天性風しん症候群の子供が生まれてくるわけではないけれども、風しんが少なくなれば妊婦さんの悲劇もなくなるわけです。と言うことは、我々の次の世代がなるべく健康に生まれてきてほしいとのことで、まず先天性風しん症候群をゼロにする。ゼロにするために多くの人に免疫を持ってもらいたい。そのためにワクチンをもう少し膨らませていき、最終的には風しんがもっと少なくならないとたまにこういう情報が出てくるわけです。それは1つ目標を立てないと、いつまでもやりましょう、やりましょうだけではダメなので。これについては、一般の方の理解もそうだし、行政もそうだし、これはお金がかかる話です。こういうものにお金をかけるということを多くの方が理解していただかないと国はお金を出さないわけです。皆さんがこういうことをやれば、我々の次の世代は大丈夫ということを大きく言っていただければ少しでも進む。2020年というのはWHOも目標に置いたんです。2020年は我々にとってオリンピックを行う年ですが、オリンピック行う時に、日本にまだ風しんがあって、オリンピックの選手が日本に行く時は風しんのワクチンを打っていきましょうというのはみっともないですよね」
反町キャスター
「実際に日本に行く時はワクチンを打って来いという話があるのですか?」
岡部氏
「アメリカ、台湾でもそういうアナウンスがありました。日本が中途半端に流行がなくなっている時でも外国から入ってくる可能性もあるわけです。これを守るためには我々が自分で守らなければならないので、これも免疫を持っていることが必要です。両方やっていかなくてはいけない。それから、外国にあるから良いというわけではなく、外国の状況もよく見て、そこは国際貢献ですよね。外国がそういうことをやるということに我々がうまくいったのなら、それを応援しなくてはいけないと思います」

日本の感染症計画 予防接種 方針転換の影響は
岡部氏
「現在の予防接種の制度は国が決め、ある程度地方に対する交付金で予防接種の費用を出すことにはなっているのですが、自治体が予防接種の費用をある程度捻出しないといけない。交付金は豊かな自治体とそうでもない自治体がある。そこで高低があると、豊かではない自治体はより自分達で負担しなくてはいけない。しかし、本当は大切なんだとわかっているけれど、お財布がないんです。そこはこういうお金を税金の中でこれだけ投資をしていいんだということに皆が一致していかないと、こちらの方が大切だからと目の前でなかなか効果が出てこないわけです。それをやはり長い間隔で見て、皆で予防する。そういうことがあると、たまたま病気で予防接種ができなかった人とか、自分は実は予防接種を受けたくないという人も含めて、実は予防できているわけです。元がなくなれば、それは集団免疫という考えにもなるんです。自分1人1人ではなく、やはり社会を守ろうというのが全体の考えになってくる必要があると思うんです」

岡部信彦 新型インフルエンザ等対策有識者会議会長代理の提言:『熱くなりすぎず 冷めることなく 積み重ねていきましょう』
岡部氏
「これは感染症対策だけではないけれど、あまりヒートアップしないで、あまり冷めて見ないできちんとやっていくことが必要という意味です」

長谷川秀樹 国立感染症研究所感染病理部部長の提言:『人材育成』
長谷川氏
「感染症対策の分野において、やはり現在を考えるというよりも、これから先、継続的に対策を立てるためには圧倒的に人材が不足していると思うんです。それは感染症対策のうえで検査をするとか、診断をする、疫学的にきちんと統計をとるとか、ワクチンをつくるとか、そういったところに関しても圧倒的に人が足りないので、とにかく人材を育成してできるだけ対策に貢献できる人を増やしてほしいというのが提言であります」