G・カーティス氏が読む 8・30総選挙決断の背景
「この選挙は、9月で任期満了を向えて、やるしかない選挙。麻生首相としては、もっと早くやりたかったみたいですけどね。自民党は、選挙に負ければ麻生首相は辞めなければいけないし、勝てば首相を続けられる。だから“麻生政権”を取るか“民主党政権”を取るか、国民にははっきり選べる選挙ですね」とし、地方選挙を例にあげた。
「今回の地方選挙を見ると非常に投票率が上がっている。これを見ると有権者の間に『なんとか政治を変えたい!』というマグマみたいなものが溜まっているように見える。だから今回の選挙は、歴史的に見ても非常に意味のある選挙だと思います」
G・カーティス氏が読む 麻生内閣と自民党
カーティス氏は、自民党の選挙戦略を次のように語る。
「麻生首相を退陣させて選挙をするなんて考えられない。第一、跡継ぎがいない。それに麻生首相が辞めたら党内は、もっと混乱するでしょう。だから自民党の議員は嫌だけど、このまま選挙をするしかないと思っているんじゃないでしょうか?そして、候補者の半分は落選すると思っていますよ」
この発言を受けて反町キャスターは、カーティス氏にそんな状況で選挙に突入する自民党の見解を聞いた。
「パニック状態だと思いますよ。でもパニックを抜け出す方法が見つからないというところでしょう。だからもう、“やるしかない!”っていうところじゃないですか?自民党の議員は、みんな自分の事しか考えていないと思いますよ」
アメリカから見る 混迷・日本政治の今
若松編集長は日本に来る外国特派員の数が減り、諸外国が日本に対する興味が無くなってきている状況を危惧した。これにカーティス氏は、次のように語る。
「確かに、それが現実ですね。さらに今の不況で、海外のメディアも不況だから特派員を一人だけ置く。置く場所は、やはり中国。その特派員は、時々中国から日本に来て取材する」
G・カーティス氏が見る“民主政権”への期待と不安
総選挙後の政権についてカーティス氏は、次のように語る。
「選挙に勝つ、勝たないというのは終わってみないと解からない。しかし、民主党がよほどのミスをしない限り、政権交代は行われますよ。」
反町キャスターは、民主党が政権を獲ったら変わるポイントを質問した。
「まず新しい競争が生まれて、日本の政治は変わりますね。二大政党制というのは、そういうことですよ。また政権交代というのは、非常に意味がある。なぜなら民主党は、政治をよく勉強している大学生みたいなもの。本当の政治家の匂いがしない。しかし、権力を握ると官僚との付き合い方、予算の立て方など勉強になるんです。そうやって揉まれる事で良い政治家になるんです。だから二大政党制になって与野党の政治家が、みんな経験を積んで良い政治家になるんです」。さらに、自民党の派閥にも言及した。
「昔の自民党は、派閥間での一種の政権交代が起きて一党支配の良いところが出ていた。しかし、今は、小選挙区になったことで個別の候補者を選べなくなった。だから『自民党が嫌だから民主党』に入れても民主党に経験がない。今回の政権交代によって、やっと学べる時期が来た。もちろん最初は、(経験が浅いから)混乱はあると思いますが、長い目で見れば政権交代は良いことですよ」
野党の政権交代は抽象論
カーティス氏は、野党の政権交代は抽象論と言い、こう続ける。
「彼らは、ここ2、3ヶ月の間に政権交代が現実味を帯びてきたことによって、今までにない緊張感や興奮が出てきた。その為に人事も現実味のあるモノになっている。これは良いこと」
政権党
「日本語には、政権党という言葉がない。政権を持っている党を与党。それ以外を野党と言っています。しかし、これは辞めたほうがいい。政権というものは、政党と官僚がタッグを組んでいることをいう。だから考え方の転換が必要だと思いますね」
G・カーティス氏が日本の外交を斬る!
八木キャスターはカーティス氏に、日本はオバマ政権に何を求めるべきかと、質問した。
「一つは、地球環境問題に協力体制をとること。日本の環境テクノロジーはアメリカに無いものがある。だからオバマが言ってからではなくて、積極的に提案するべきです。あるいはアフリカの開発ですね。日本は防衛費や国際援助費、そして文化交流費を削って大国と見られたいというのは無理がある」と日本の外交予算について批判し、オバマ政権との関係性について提言した。
「オバマ政権に求められているのではなくて、日本の外交のビジョンを国内で議論して、そして、選挙後の新しい首相がアメリカに提案することが重要。アメリカにとって日本は、重要な国。中国も、もちろんだけど価値観が違いすぎる」
駐日アメリカ合衆国大使人事と駐中国アメリカ合衆国大使の人事
若松編集長は、日本と中国のアメリカ合衆国大使人事について、カーティス氏に質問した。
「アメリカの行政人事は、反面教師になるやり方がある。それは、外交官でない素人を大使に任命するところ。これは、おかしいこと!今度の駐日大使になる方に会ったことはありませんが、オバマ大統領の選挙資金の調達に尽力した人。これはイギリスやドイツも同じような人事をしている。そんな人事ができるということは、日米関係が安定している証拠じゃないですか?今の日米関係は大使が色々しなければいけないことは、あまりない。むしろ米中関係は、問題がたくさんある。今の日本にもっとも必要な大使は、大統領の言葉を日本の要人に伝えられる人物であるほうがいい。だから未経験の人物が大使になることは良いことではないが、悪いことでもない。まぁ~、今度の大使は話を聞く限りでは、優秀な人物ということですが・・・」
対北朝鮮外交の課題
カーティス氏は、アメリカの対北朝鮮外交について次のように語る。
「アメリカとしては、対北朝鮮より中東やアフガニスタンのほうを重視したいということが率直だと思います。ただ北朝鮮を放っておくことはできない。本当は、アメリカと中国が協力して北朝鮮をどうにかしないといけない。しかし。外交にはジレンマが発生するとはよくある。それは、北朝鮮がどうかなってしまうと中国に北朝鮮の難民が流入してしまう。また朝鮮半島が統一されたら中国の隣国がアメリカとの同盟国になる。これも避けたい。とにかく日米韓中が、協力体制が大事。とにかく冷静に感情を抑えて戦略的に対応することが大事ですね」
ジェラルド・L・カーティス コロンビア大学教授の提言 : 『政権党の必要な3力 ・戦略力 ・説得力 ・決断力』
「今度、政権を獲った政党は、政権党ということを考えなくてはならない。そして、この3つの力を考えなくてはならない。
・戦略力
やはり、政権をとる政党は戦略的に考えなくてはいけない。いかに良いことをしても、優先順位を決めて戦略的に行うこと。
・説得力
政治家にもっとも重要な力は説得する力。なぜなら国民を説得しなくてはならない。しかし、今は官僚の書いた原稿をひたすら読むだけ。これは直さないといけない。ちゃんと国民を見て説得する。
・決断力
事を起こすときは決断する! 負けるかもしれないけど日本にとって良いこととなれば、やらなくてはならない」