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    【テーマ】
  • 『ITで日本経済復活!
    クラウド・コンピューティングは産業革命を起こせるのか?』
    【ゲスト】
  • 宇陀栄次 株式会社セールスフォース・ドットコム代表取締役社長
  • 徳生健太郎 グーグル株式会社 製品開発本部長
  • 金正勲 慶応義塾大学大学院 政策メディア研究科准教授
    【ブレーンキャスター】
  • 小宮山宏 三菱総研理事長
    【編集長】
  • 安倍宏行 解説委員

日本経済復活のキーワード/クラウド・コンピューティングとは

 クラウド・コンピューティングとは、インターネット上にあるYahoo!やGoogleなどが提供しているサービスを利用して、ユーザーがコンピューター処理を行なうこと。
個人では“あたりまえ”に利用している身近な「クラウド」の技術について徳生氏は「ウェブメール、ミクシィ、ユーチューブといった動画ソフトやソーシャルネットワークで写真を共有しているということでも、ユーザーはクラウドを経験していることになります」と言う。
そして、このクラウド・コンピューティングというシステムの現状を、金 准教授は次のように説明する。
「ユーザーがほしいのはソフトウェアではなく、それが提供する機能やサービスです。クラウド・コンピューティングを利用すれば、自分のほしい機能が好きな分だけ、すぐ安く使うことができます。そして企業ユーザーとしては、急に利用者数が増えるとサーバーの容量を増やすなど対応をとらなければなりませんが、このシステムを使えば、カード一枚で瞬時に仮想的なサーバーを作ることができます。個人ユーザーに使われてきたシステムが、今後企業の産業ユーザーの中で主流になっていくのではないかと思います」

企業にもクラウド化の波/先駆者が語るその理由

 宇陀氏は「企業でも、クラウド・コンピューティングを正しく理解されている」と述べる。
「非常にボリュームがあるデータを短期間に安く構築したいという要望の中では、クラウドが非常に有効です。これまではハードもソフトも開発費も全部積み上げて、数億円のコストがかかるものを短くても3年、長くても5年で消却していました。しかし例えるなら、自社ビル1棟を建てるのではなく、賃貸オフィスを借りる方法もあり、どちらが無駄な費用が発生しないかという事です。この考えが、ITの中でも起き始めています。必要な機能がすでに構築されたものがあるなら、後は状況によって似たような機能を取り出して設定すれば、それはシステムとして稼働します。すでにしつらえてあるものの中身を入れ替えれば良いわけなので、短期間でリーズナブルにサービスを提供できるのです」

コスト減&スピードUP/クラウド導入の効果とは

 金 准教授は、「クラウド・コンピューティングの導入は、経営的観点から見て効率性も上がって費用も軽減でき、非常に大きなインセンティブがあります」とした上で、次のように言葉を続ける。
「ただしクラウドはある種のアウトソーシングであり、費用・人員を削減する根拠になるので、企業内部の情報システムの方から見ると必ずしも好ましいとはいえません。こうしたクラウド・コンピューティングはほとんどがアメリカの企業。日本企業がこれにどう対応策を練っていくかは一つの挑戦だと思います」

Google携帯電話登場でモバイルはどう変わる?

 これまでの携帯では、それぞれの携帯電話の事業所がそれぞれのサービスを持っていたが、クラウドの技術を使うと携帯電話OSのオープン化ができ、どの携帯からもどのサービスでも使えるようになるという。
金 准教授は、「携帯電話市場には大きく分けて3つのプレイヤーがあります。通信サービスを提供する通信キャリア、端末メーカー、アプリケーション(サービス)を作る会社です。日本市場ではこれが垂直的に硬直的な形で統合されていましたが、アプリ開発会社にしてみれば、OSがオープンになることで特定のキャリアと端末の束縛から逃れ、サービスを自由に開発できることになります」と利点を示す。

「利用予定ない」60%超…/クラウドの利用の課題とは

 金 准教授は、クラウドの問題点を4つ挙げた。
①データの所有権 … クラウドとは、ネットワークの向こう側に自社の大事な情報を保存してもらい、必要な時に必要な情報を引き出して使うこと。向こうのサーバーの中のデータがどちらのものなのか、データの所有権、責任の所在が明確ではありません。
②データセンターの場所 … 現状、日本では海外のクラウドのサービスを使用することになり、そうするとほぼアメリカのデータセンターに保存されることになります。その時に、アメリカで日本法が適用できない可能性が十分にあります。
③個人情報保護 … 顧客データなどのユーザーデータを事業者同士が相互に扱うことで新たなサービスを開発し、ベネフィットを与えたいという取り組みもありますが、われわれユーザーのデータを事前許可なしに使うのはどうなのか、個人情報、プライバシーの問題があります。
④SLA(通信品質を保証する契約)が不明確 … システムダウンやネットワークのトラブルが起こったとき、クラウドはどういった責任を持つのか。全てのクラウド・コンピューティングがSLAを明確にして提示しているわけではないので、利用者の不安を払拭するためにも、SLAという契約を明確にして提示する責任があるのではないかと思っています。

宇陀栄次 株式会社セールスフォース・ドットコム代表取締役社長の提言 : 『変化と調和』

 「いつの時代も、新しいことに挑戦することで新しい市場や需要が生まれます。そういう部分と、変えてはいけない部分・継続した方が良い部分を調和させる、ITの世界でもこういったことができてくると、日本がIT産業としても素晴らしい輸出国になるのではないかと思います。日本は、新しいITとCT(コミュニケーションテクノロジー)を融合させたICT産業をまとめてサービスして、アジア各地に売っていくことができる国になる可能性があると思います。クラウド・コンピューティングにいろいろな課題があるのは間違いないですが、それを超えてもっと大きなことに挑戦したいですね」

徳生健太郎 グーグル株式会社 製品開発本部長の提言 : 『創造』

 「クラウドに注目が集まったのはコスト削減、セキュリティなど業務的な理由がいろいろありますが、クラウドは手段であって、この上に価値を作るのが企業であり個人ユーザーであるということで、この言葉を選びました。クラウドというツールができたことで、今までに考えなかった使い方が増えてきます。 データを共有することで、データが有機的な進化を遂げることを与えられる可能性があります。自分たちがクラウドを基盤技術として提供する上に、企業やユーザーがクラウドを使って新しい価値を創造していく、というところを考え『創造』という単語にしました」



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