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    【テーマ】
  • 『揺らぐ安全保障の傘~米戦略の転換で日本は?』
    【ゲスト】
  • 中谷元 元防衛庁長官 衆議院議員
  • 浅尾慶一郎 民主党ネクスト防衛大臣 参議院議員
    【ブレーンキャスター】
  • 岡部いさく 軍事評論家
    【編集長】
  • 能勢伸之 解説委員

敵基地攻撃論の反響は?

 反町キャスターに、敵基地攻撃を議論すべきということについて何か反響があったのか、という質問に、浅尾議員はこう語る。
「同盟関係の近い様々な外交筋から、どういう話か聞かせてほしいと言われました。ただ、在京の中国大使が、そういうことを議論すべきではないという発言をしていたのを新聞で読みました。それから、防衛は意図を明確に相手に伝えておくことによって、不用意な軍拡は防げると思います。我々は敵基地攻撃能力を持つ意図はないけれども、他に手段がなければ、持たざるをえなくなります。このことを、北朝鮮に対してはっきりとメッセージを出す必要がありますし、それと同時に、アメリカや韓国の同盟関係が近いところを含めて、中国にも協力を求めると良いと思います。」

外交カードとしての敵基地攻撃論の効果

 浅尾議員は、「効果はあったと思います。しかし、今回の核実験で北朝鮮は、『我々としては、自衛のために、核実験と大陸間弾道ミサイルの発射をする』という声明を出しています。ここまでエスカレートしているときに、どうやって若干及び腰の中国を巻き込むか、という意味でのカードは、ちゃんと押さえておかなければいけないと思いますね。」と話した。

予防的先制攻撃の可否

 中谷議員は、先制攻撃の可能性について話す。
「専守防衛と考えても、先制攻撃というのは、国際法の中でもルール違反でありますし、憲法からしても、そういうことはまったく念頭にありません。しかし、国を守る自衛の範囲ということで、3つの条件、“急迫不整”、“必要最小限”、“他に手段がない場合”という前提で、まさに敵基地から発射するということが分かりきっているときには、その基地を攻撃する、ということです。」

巡航ミサイルと小型個体ロケット技術

 防衛大綱に盛り込まれた、手段の部分にはこう記述されている。
「我が国の宇宙科学技術主力を総合的に結集すれば、宇宙利用による情報収集衛星・通信衛星と、巡航ミサイルや小型個体ロケット技術を組み合わせ、実現は可能である」
このことについて中谷議員は、「敵基地を攻撃するためには、トマホークのような巡航ミサイルが現実的です。設置などの準備は簡単にできますが、運用の面においては、アメリカのソフトや情報に頼りますから、日米間で運用していかなければなりません。」

米・新型ミサイルCSM計画とは?

 軍事評論家の岡部氏は、核兵器に代わる新しい兵器が開発されていることについて解説した。
「通常兵器なのに戦略兵器になる、というものが現れようとしています。それが“CSM”というミサイルです。時速2万4千キロもの超高速で地面に突っ込み、かなりの衝撃と破壊力を及ぼすので、地下の司令部やミサイル施設を破壊するのに非常に好適な兵器だと言えます。この“CSM”を、GPSを使ってピンポイント攻撃をしようということなんです。つまり、敵の指導者の執務室を狙って攻撃する、といったことが可能になります。」

米戦略転換による国際秩序への影響は?

 岡部氏は、核兵器削減によって生まれるアメリカとロシアの対立を説明した。
「アメリカとロシアが、一緒に核兵器を減らしたとすると、両方とも核兵器の保有数は少なくなりますが、アメリカがCSMを持っていることによって、抑止力に大きな差が出来てしまいます。これは不公平なのではないかとロシアが反発する可能性も考えられますね。」
これを受けて、反町キャスターに、アメリカの防衛に対する姿勢について聞かれた浅尾議員は、「オバマさんの理想主義と、実際に安全保障政策を作っている人たちの原理主義がうまく合致した、という気がしますね。アメリカにとっての一番の脅威は、核爆弾や生物化学兵器をテロリストが持つことですから、それをなくしてしまえばいいという発想が、原理主義者側にもあるし、オバマさんの頭の中にもあるんじゃないかと思います。」

米露間の削減交渉の中で日本は何が出来るのか?

 浅尾議員は、「アメリカとロシアの現実政治の中に、日本が割って入っても、意見を聞いてはくれますが、それ以上のことにはならないと思います。アメリカの世論、あるいはロシアの世論に対して、広島・長崎の被害はこうであったということを、いかに伝えていくかが大事です。これ自体もかなり難しくて、アメリカの国内には、まだ原爆を落として良かったと思っている人もいます。そういう人たちに対して、一般市民にこれだけの被害が出てるんだ、ということを伝えるために、日本が言うよりかは、アメリカの市民が日本のNGOと一緒になって、言っていく形が一番理想的だと思います。同時にロシアはそのような伝さえないですから、伝を作っていくことが大事じゃないかと思います。」と話した。

中谷元 元防衛庁長官の提言 : 『日米の役割協議』

 「我が国の防衛を考えてみますと、憲法を持っていますので、盾と矛の関係が基本ですから、その中で日米がどういうふうに役割を果たすのかを考える必要があります。やはり日本も、ある程度の責任を持って、今までアメリカがやっていた部分も担うように協議したらいいと思います。」

浅尾慶一郎 民主党ネクスト防衛大臣の提言 : 『核兵器削減への世論作り』

 「核兵器というのは、無実の民も殺しますから、当然のごとく無いほうがいいです。しかしそのためには、いろいろな観点から世論を盛り上げなくてはいけません。北朝鮮以外で、大量に人を殺せさえすればいいという人が核兵器を持ってしまうのが、一番最悪の事態です。そういうふうにならないよう、地球の上にある核兵器を減らしていくために、世論をいかに盛り上げていくか、ということを考えるべきだと思います。」

核の傘に守られた核兵器廃絶運動

 日本は核の廃絶を訴えていながら、核の傘に守られている、という観点についてどう思うかを反町キャスターはゲストの二人に質問した。
これに中谷議員は、「現実問題、北朝鮮のように核武装しようとしている国があるので、核の傘は必要です。しかし、時代も変わってきていますので、やはり核をなくし、安全が維持される世界を作ろうという方向性は失わずに、アメリカと協議することが必要だと思います。犯罪者がいない世界だと一番いいのですが、それぞれに思惑がありますので、やはりルールを守らない国に対しては、しかるべき措置は誰かがやっていかなくてはならないです。」と話す。
これを受けて浅尾議員は、「この問題は国対国の場合、そして国対個人の二つの観点から考えることができます。国対国の場合は、北朝鮮やロシア、中国などの核を持っている国に対して、アメリカは核の数で勝っていないといけないので、今すぐ核廃絶となると、日本に核の傘が来なくなり困ります。なので、同時に北朝鮮やロシア、中国にも核兵器をなくしてもらわないといけないということです。一方で、国対個人となると、自爆テロを起こすような人たちなので、自分がやられても関係ないわけですよ。こういう人には核の傘は効きません。だから、この場合では核は無いほうが良いと言えます。つまり、国対国では核の傘は必要ですから、すぐに核兵器廃絶ということではなくて、2030年くらいまでの長いスパンで段階的に減らしていく、その過程で個人の問題も解決するのではないかなと思います。」



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