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    【テーマ】
  • 『人財開国が日本経済の起爆剤になる!!』
    【ゲスト】
  • 南部靖之 株式会社パソナグループ代表
    【ブレーンキャスター】
  • 樋口美雄 慶應義塾大学 商学部教授
    【編集長】
  • 安倍宏行 解説委員

閉塞感漂う日本社会/女性・高齢化社会の雇用問題

 日本が抱える3つの雇用問題である、①女性の雇用 ②高齢化社会における雇用 ③非正規雇用。この中の男女別雇用者と正規雇用者の推移について、樋口教授は次のように説明する。
「女性の正規雇用は緩やかに増えていますが、これは、産業構造が大きく変わったせいです。公共事業の削減などで男性比率が高い仕事が減る一方、サービス業、医療や介護は女性比率が高いという構造の変化です。しかし女性の正社員の雇用として、一度出産して再就職となると、女性の就職先は中々見つからない現状もあります。そして現状が続くと、労働力人口は2030年には2006年と比較して1000万人くらい減ってしまいます。これは男女年齢問わず、誰もが意欲と能力を発揮できる社会にしないと、日本社会が持続不可能になってしまうという懸念を表していると思います」

高齢化社会の雇用問題/中高年層の雇用創出

 中高年の雇用、再雇用を斡旋する雇用創出機構を立ち上げた狙いを、南部氏は次のように言う。
「企業がある時は多く採用し、ある時はクビを切る、ではなく、大企業から中小企業・ベンチャー企業へと、失業せずにうまく転職ができるようなブリッジを作るのが狙いでした。ある日突然辞めてくれ、ではなく、1~2年間その人を雇用創出機構で預かって、いろんな企業から受注した仕事をアウトソーシングしたり、次の雇用に向けての勉強講座をひらいたりしています。これまで売り上げ、利益ばかりをみていた方々に、『本当の豊かさは誰と働くか、本当の幸せとは給与よりももっと価値が高いものであり、中小企業・ベンチャー企業でもすばらしい会社がある』ということを教えていきます」

「会社社会」から「個人社会」/人材の流動化の時代

 日本において、今後どのような雇用の形態の変化があると思うか、と問われた南部氏は、「自分が常々言っているのは、『これからは雇用という概念がなくなる』ということ」と言う。
「これは、企業が人を雇用するのではなく、全員が社長となって、週3日働く・農業しながら働くといった就労体系が可能な時代が来る。そのためには自分に投資をして、自分ができるんだという気持ちでやることが大切、と言いたいのです。企業の方も、一人の仕事はこの仕事、と決めるのではなく、経営にあった人事経営が必要になると思います。また、いろいろな働き方ができるように、働きたいという人への教育体制やメディカル体制、悩み相談など、みんなに共通するようなセーフティネットを社会基盤として作っておくべきです。働き方として一つだけしか選択肢がないというのは、難しいと思います」

また、樋口教授も「大企業では正規社員の能力開発に一ヶ月かけることが可能だが、非正規社員は能力開発の対象にならない。しかしそれが自分の責任かと言われると、自分だけでは無理なこともある。社会の中に、能力開発できるチャンスを与えるセーフティネットを作ることも必要です」と同調する。

日本経済への起爆剤/農業の産業発達と雇用創出

 会社として、人材開発から農業方面へと進んだ理由を、南部氏は「フリーターと農業」の面から語る。
「フリーター問題が大きくなり、フリーターはダメだという世論が広がりましたが、私はフリーターが悪いとは思いませんでした。一方、農業は高齢化が叫ばれていましたが、農業はいろんな意味でハイテク産業として第4次産業になりえるのでは、と考えていたのです。sそして、若者や、定年後に都会から地方へ戻りたいという人が働けるものは何かを考えたとき、それが農業でした。しかし農業は一般には世襲制で終身雇用であり、なかなか入り込めない。そのミスマッチを東京のど真ん中で解決してみたいと思ったのがきっかけです」

農業の必要性/屋内農場の現在

 南部氏は、東京駅から歩いて3分の大手町の金融街のビルの地下に、300坪の屋内農場を完成させた。
今度は、「東京のど真ん中で、ビル1棟の中でエコと農業と環境、自然との共生を実現したい」と夢を語る。「苺に水をあげて天井を見上げると、そこにはカボチャがぶら下がっている。そんな風にビル全体を地方にいるような仕組みにしたいと、今取り組んでいるところです」

農業の必要性/「チャレンジファーム」の現在

 「会社を辞めて農業に就くのはすごく勇気がいる」と南部氏は説明する。それを解決するため、「チャレンジファーム」という仕組みを作ったのだという。それは、「パソナが農業従事者として最低限の賃金を保証し、希望者を3年間雇用。そして3年以内をめどに、就職してもらう」というもの。
「農業とオフィスワーク、就労体系がまったく違うので別の仕組みを作り、7名の定員を募りましたが、そこに何百と若者の応募が来ました。また、農業も生産するだけでなく、生産物を加工する、販売・営業へのITの応用、レストランといった、農業周辺のビジネスに目を向けて、新しいフィールドを作ることを考えています」

経済復興へ「人財界国」/人の評価と多様なモノサシ

 南部氏は、独自の人の評価基準を持っている。
IQ:知能指数
EQ:感情知能指数
SQ:「やる気」や「志」などを示す指数
HQ=IQ+EQ+SQ:「優しさ」や「思いやり」などを示す指数

「このHQの人材が、会社や社会に必要なのではないかと思っています」
これを受けて樋口教授は、「大学で教授として働いていますが、生徒に対する公正な評価はすごく難しい。それは、評価する側もされる側も感じていると思います。潜在的な人間が持っているものをどう引き出すかは、大学や職場環境によっても異なってきますが、それをいかに発揮できるような状況を作るのかが教育の場ではないかと思います」と述べる。

南部靖之 株式会社パソナグループ代表の提言 : 『人事権は自分で持て!』

 「今の会社では、人事部長がすべての人事権を持っています。この提言は。自分で自分の進路を決めなさい、もっと言えば自分の人生は自分で決めよ、ということ。できる、できないはあると思いますが、個人の事業を自分でもちなさい、ということです。
これまで、人の価値は“いい大学”、“親が資産家”などでしたが、これからは人は心の持ち方、教養だと思います。教養を身につけ、自分に投資し、自分でいろんな会社を渡ったり、あるいは自分で仕事を作るなど、とにかく自分で決めなさいと言いたいです。
もっと自分の力に自信を持って、目の前にあるサラリーマンという仕事だけがすべてだと思わなければ、いろんな人生、選択性、働き方がでてくると思います。不況になった今、みんなが色んな意味で働き方に目を向けだしています。5年後10年後を目指し、誰と働くか、企業でも地位でもない、自分がしたいことをやったら食べていける何かがあると強く信じて、トライしてほしいですね」



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