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    【テーマ】
  • 『シリーズ少子化「日本人が足りない!」第2弾
    ワーク・ライフ・バランス 出産増の鍵は労働環境』
    【ゲスト】
  • 小室淑恵
    株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役
    【ブレーンキャスター】
  • 樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授
    【編集長】
  • 安倍宏行 解説委員

少子化問題克服へ/ワーク・ライフ・バランス

 政府の少子化対応の印象を聞かれた樋口教授は、次のように言う。
「少子化社会を考えるには、3本の課題があります。①企業による介護支援 ②企業による出産・育児支援 ③行政と地域による出産・育児環境の整備ですが、いずれも後手に回って来たのは否めないですね」
そして、この3つの解決のために必要とされるワーク・ライフ・バランスの概念を、小室女子が説いた。
「『バランス』と聞くと、10あるうちの7:3など家庭と仕事の割合を想像してしまいますが、そうではなく、相乗効果としてワーク・ライフ・ハーモニー、シナジーと言うほうが正しいです。仕事と私生活が互いに良い影響を与え合い、それがサイクルとして回る関係になっていくのが本当のワーク・ライフ・バランスの考え方です」

少子化社会から脱出へ/女性労働力の活用

 働きたいのに働けない女性もいますが、との問いかけに小室氏は、「子どもや家族といった面倒をみる相手がいるのに、現在のような長時間労働の職場は選べません。職場での働き方を変えないと、この潜在労働力はずっと出てこられなくなってしまいます」と語る。
アメリカ、ノルウェー、カナダなど、女性が社会進出している国のほうが出生率が高いとの統計に、樋口教授は、「1980年代までに遡ると、この関係は真反対でした」と言う。
「その時代は女性が子どもと労働どちらをとるか二者択一の時代でしたが、今の統計結果からは、各国が工夫をこらして女性が仕事も子育ても両立できる社会に変えてきた、と見ることができます」

世界の常識的な流れ「働く女性こそ出産」

 日本の社会は、それを上手く変えることができなかったということなのだろうか?
小室氏は、「これは、30年前の日本の誤解が原因です。女性の労働力率が高いと子どもが少ないという1980年代のグラフを見たとき、日本社会は、女性が働くから子どもを産まない、だったら家庭に入るような政策を取れば出生率が上がる、と思ったんです。
ただ、ほかの国は同じ図を見て『女性が働くと産めない』環境が問題だと考えました。そうして、環境整備を整えるために、保育所の数を増やす、企業に両立支援制度を整備させる、男女が早く帰れるようにする、ということを30年前に始めたのです。その結果、女性が働けることで家庭の収入が増え、家計が安定した家庭ほど、2人以上子どもを産めるようになってきました」

女性の離職率減少/「復帰しやすい環境を」

 子どもが産まれると会社を辞めてしまう女性が多いことについて、小室氏は「会社での長時間労働モデルを目の当たりにして、入社後2~3年後には自分の思うようなキャリアは描けないと分かり、そこから徐々に『子どもができたら辞めよう』という意識に変わってしまいます」と、原因の一つを明らかにする。
また、出産育児休暇をとった女性の7割が職場復帰しないという数字については、「現在の日本では、長時間労働というハードな職場の中に、長期で休める制度をどんどん作っているだけの状態です。職場が育児をしながら働ける環境であれば、本人たちはきちんと戻ってきます」と説く。

出生率アップへ/男性の育児休暇

 政府の過去の少子化対策に効果が出ていないのはなぜか?という質問に、小室氏はこう答える。「少子化の問題の根本は、企業の働き方の問題です。男性が週の半分は早く帰って幼稚園のお迎えに行けるようにする、など働き方の対策をせずに制度だけを作っても意味がありません」
また、樋口教授も、「政府だけでなく、われわれ自身も日々の生活、働きかたを変えていかなければならない」と言う。「会社ぐるみで、社会ぐるみで変えていくことが必要。今まで、社会の風土から変えるというような制度はなかったと思います。そうなると政府のリーダーシップも重要ですし、そうして全てが同時に変わっていかないと」

組織改革よりも個人の意識改革

 こうしたワーク・ライフ・バランスが取れた社会の実現性は、どの位あるのだろうか? 小室氏は、「今、どの企業も制度は立派でも風土で使えていません」と課題を挙げる。「ここ3年くらい、その制度を使う人が増えてきましたが、『制度はあるけど使えないんじゃないか?』という状態です。弊社への意識改革セミナーの依頼がすごく増えていますが、中でも管理職に向けたものが増えています。早く安く大量に、の時代であれば、ある程度時間をかければ利益が上がった。残業も勝って行くためには有効でしたし、間違った方法ではありませんでした。しかし40年が経って、現在は市場が変わって商品が変わってきました。それに伴って、人材のマネージメント方法が変わらなければならないのです。
今は、短い時間で付加価値のあるものを作っていかなければならない時代です。そのためにも、会社を早く出てライフ(生活、日常)での時間を充実させ、そこから得られるインプットを増やして引き出しを増やすことが、仕事にも良い効果をもらすことになります」

小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役の提言 : 『6時に帰る働き方に挑戦しよう!』

 「これは私も実際にやってみて、本当に難しく四苦八苦でしたが、これを4ヶ月くらい続けるとライフ(生活、日常)でのインプットができるようになって、仕事のアイデアが次々に湧くようになりました。4~8ヶ月かけると、誰でもできると思います。
ただ、これは会社の理解がないと難しいことなので、自分ひとりで挑戦するのであれば、1日のスケジュールをたてる朝メール(自分が今日一日何をするかを上司にメールし、帰社前にその成果を報告する)は本当に簡単で、自分が何にどれ位時間がかかって、何のスキルが足りないかなどが分かるので、そこからスタートすれば良いと思います。 まず、就業定時内の限られた時間の中で生産性高く働く、という事にチャレンジすることです。最初は、成果が上がってないから帰らない、ではなく一度帰る。なぜなら頭がカラの状態で次の日出社しても同じことが起きてしまいます。20代なら帰社後は学びの時間に当てて、インプットの時間にする。しっかりインプットをできていると、次の日の定時の生産性がさらに上がります。こうしてしっかり帰社からのインプットができると、30代40代は育児、50代は介護に携わることになっても、帰社後のこの時間内の生産性を高めているため、生涯プレイヤーになれるのです。
これをチーム単位、部署単位でトライアルを行い、会社全体に広げる中で、重要なのはトップ(社長や支社長など)のコミット。トップがこういうやり方を推進しようと本気で思い、それが理想的な人材だとトップが思っていないと、部下たちは評価につながらないことはやりませんし、結局今まで通りになってしまいます」



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