組織改革よりも個人の意識改革
こうしたワーク・ライフ・バランスが取れた社会の実現性は、どの位あるのだろうか?
小室氏は、「今、どの企業も制度は立派でも風土で使えていません」と課題を挙げる。「ここ3年くらい、その制度を使う人が増えてきましたが、『制度はあるけど使えないんじゃないか?』という状態です。弊社への意識改革セミナーの依頼がすごく増えていますが、中でも管理職に向けたものが増えています。早く安く大量に、の時代であれば、ある程度時間をかければ利益が上がった。残業も勝って行くためには有効でしたし、間違った方法ではありませんでした。しかし40年が経って、現在は市場が変わって商品が変わってきました。それに伴って、人材のマネージメント方法が変わらなければならないのです。
今は、短い時間で付加価値のあるものを作っていかなければならない時代です。そのためにも、会社を早く出てライフ(生活、日常)での時間を充実させ、そこから得られるインプットを増やして引き出しを増やすことが、仕事にも良い効果をもらすことになります」
小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役の提言 : 『6時に帰る働き方に挑戦しよう!』
「これは私も実際にやってみて、本当に難しく四苦八苦でしたが、これを4ヶ月くらい続けるとライフ(生活、日常)でのインプットができるようになって、仕事のアイデアが次々に湧くようになりました。4~8ヶ月かけると、誰でもできると思います。
ただ、これは会社の理解がないと難しいことなので、自分ひとりで挑戦するのであれば、1日のスケジュールをたてる朝メール(自分が今日一日何をするかを上司にメールし、帰社前にその成果を報告する)は本当に簡単で、自分が何にどれ位時間がかかって、何のスキルが足りないかなどが分かるので、そこからスタートすれば良いと思います。
まず、就業定時内の限られた時間の中で生産性高く働く、という事にチャレンジすることです。最初は、成果が上がってないから帰らない、ではなく一度帰る。なぜなら頭がカラの状態で次の日出社しても同じことが起きてしまいます。20代なら帰社後は学びの時間に当てて、インプットの時間にする。しっかりインプットをできていると、次の日の定時の生産性がさらに上がります。こうしてしっかり帰社からのインプットができると、30代40代は育児、50代は介護に携わることになっても、帰社後のこの時間内の生産性を高めているため、生涯プレイヤーになれるのです。
これをチーム単位、部署単位でトライアルを行い、会社全体に広げる中で、重要なのはトップ(社長や支社長など)のコミット。トップがこういうやり方を推進しようと本気で思い、それが理想的な人材だとトップが思っていないと、部下たちは評価につながらないことはやりませんし、結局今まで通りになってしまいます」