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    【テーマ】
  • 『安藤忠雄が今のニッポンとニッポン人を斬る』
    【ゲスト】
  • 安藤忠雄 建築家
    【ブレーンキャスター】
  • 小宮山宏 三菱総研理事長
    【編集長】
  • 安倍宏行 解説委員

奇才・安藤忠雄が語る東京五輪招致の経済効果

 石原都知事がこの五輪は儲かるとおっしゃっていましたが、ご自身は?と問われると、安藤氏は次のように述べた。
「経済効果の数字は分からないが、1964年日本でオリンピックを迎えた時、日本人は目標があれば元気になるんだなと思いました。今、子どもの目が死んでいて大人があまり働かないと言われるのは、目標がないから。何でもモノはあるけど希望がない。希望の一つとしてオリンピックがあっても良いのではないか、経済効果はその次でいいのではないかと思います。そして、その中から新しい希望をそれぞれが探せば良いのではないか、と」

安藤忠雄が描く2016年東京五輪/競技場デザインはコンペに!

 安藤さんは常々、開かれたオリンピックにしたいとおっしゃっていますが?と聞かれると、安藤氏は今後の展望を次のように語る。「開かれたオリンピックという意味では、例えば北京五輪はかなり閉ざされて、行動やメディアの自由がなかったですね。
それを日本ではオープンにして、作るべき施設は全て国際的なコンクールにした方が良いと思っています。私は審査側にまわり、欧米の有名な建築家に依頼して審査をしてもらおうと思っている。開かれたオリンピックを日本でやるからには、世界の若者に「日本にはチャンスがある、日本に行ってみよう」と日本を意識してもらうコンペを開催し、開かれた東京を世界に発信しなければなりません。国際オープンコンペにすることは大変手間のかかることですが、東京都庁の方にも頑張って働いてもらおうかと思います」

安藤忠雄が描く未来都市/海の森プロジェクト・ゴミの山緑地化計画

 環境に力を注ぐようになったきっかけとして、安藤氏は東京湾をヘリで上から眺めた経験を挙げた。
「ヘリから東京湾周辺を眺めていた時、この辺りはゴミと産業廃棄物の山ですから、そこを森にしませんかと提案すると、石原都知事が賛同してくれて。そこで50万人に千円募金をしてもらい、集まった5億円分の苗木を植えて森にするプロジェクトをスタートさせました。去年の12月から始めて、現在34万人くらい参加しています。U2のボノや、シラク前フランス大統領も賛同してくれているのは、ゴミの問題は東京だけでなく地球の問題で、みんなが興味を持っているからです。海の森は約100ヘクタールありますが、宇宙飛行士の毛利さんが言うには、これならば宇宙から十分認識ができるとのことなので、頑張っています。なんとかあと1年半くらいでお金を集めて森にしたいですね」
海の森プロジェクとなど、本来は国や行政がやるもののような気もしますが、との問いには、「環境問題は国や行政の問題でもあるが、環境はひとりずつの意識の問題です」と、安藤氏は言い切る。
「まず身近なところから参加できて、それが広がっていくこと。そして、行政の部分は行政に任せて。海の森も、苗木は市民ですが、管理は東京です。でも、それは共同でやっていかないと」


安藤忠雄がニッポンに喝!「責任ある子どもに育てよ」

 日本の教育制度にも問題があるとお考えですか?と聞かれた安藤氏は、少子化問題と社会制度に言及する。
「少子化で子どもが一人しかいないから、親が子育てに勇気を出せない。昔なら、子どもが多くて多少手がかけられない子がいても、まぁいいや!となって、子どももたくましく生きていた。ただ、今の社会で子どもが何人かできた時、生活がしやすいか、女性も働きに出て行けるかと考えると、そのシステムができていません。子育てで職場の復帰を諦めてしまう女性が全体の7割もいるというのは、それだけ労働力が無駄になっているということ。
日本の政治は、子どもを増やすことも考えていかないといけない。また、80歳、90歳の人生を青春で生きていけるよう、若い頃から頭のトレーニングをしておかないと」
「1950年代、日本人は家族を忘れ、地域を忘れ、会社のために働いてきました。そろそろ、会社も家族も大事、家族が大事なら地域が大事、という人が出てくればいいなと思います。子ども、嫁に久しぶりに会う、こんな社会で良いのでしょうか?」
「今までの価値観は、東京に行って儲けてエラくなって、というものでした。そうではなく、それぞれの地方で自分の地を守りながら楽しくやっている人たちをメディアがもっと取り上げれば、地方都市も良いんだな、という人も出てくると思います」

安藤忠雄 建築家の提言 : 『目をさませ』

 「1970年代くらいから日本人は豊かになってきました。でも、お金さえあれば豊かになる訳ではなく、いい学校、いい会社に行けばいいというわけでない。日本人は自分の価値観を持って生きた方がいいのではないか、目を覚ませ、と思い続けているが、殆どの日本人は寝ている。漂っている状態です。日本の経済成長率は下がり続けていて、中国は成長し続けている。そのことを考えると、目を覚まさないと。
20代で頑張っている人もいるが、まだ少ないと思います。一流大学を出て一流企業に入り終身雇用、というスタイルが崩れてきているのに、まだそれが良いと思われています。
身の回りみると、腹立つことばっかりじゃないですか? まず腹を立ててみろ!と思いますね。腹を立てるという言葉は、日本人にとって死語になっている気がします。物事をたくらむ心もない。たくらむ心があればぶつかり合うし、蹴落とされる。今は、蹴落とすことすらありません。
これは、国際化のルール。国際化とはお互いがガチっとぶつかりあうことです。女性も男性もぶつかりあって本当に意見を言い合って、上下関係でなしに良いものをみんなで見つけあっていかないと大企業でもやっていけない。国際化とは世界中がぶつかりあって、より良い生活とは何かということを探すことです。そうなると、頭にくることがいっぱいある。怒りのない日本、目をさませ!ということですね」



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