青く光る紀伊水道、折り重なる紀伊の深い山々。旅人・滝田栄が、太古の昔から自然信仰の精神を育んだ紀伊山地の霊場と、参詣道の一つである熊野古道を巡る。
 まず、牛馬童子の像が立つ中辺路に足を踏み入れた滝田。熊野は黄泉の国の入口があるとされ、熊野詣をすれば魂が蘇ると信じられていた。この地を訪れる人々に愛された笠が、特産品の皆地笠。滝田はその職人を訪ね、現在わずか一人になってしまった今の心境に迫る。
 その後、滝田は熊野本宮大社、熊野本宮大社の旧社地である大斎原を見て回り、熊野川下りを体験。この地は世界遺産の中でも数少ない「道の世界遺産」であるが、中でも異色なのが、川を道と見なしていること。滝田は、この川の参詣道の復活に尽力した男性に話を聞くことに。神域として立ち入り禁止の那智の滝上流の原生林では、春の一時期だけ解放されるこの森で、滝田は樹齢1000年と言われる杉の木と対面する。歩みを進めるごとに見る人を圧倒し、包み込む、吉野、大峯、高野山を含む紀伊山地の自然。多くの祈りを受け止めてきたこの場所で、滝田は何を思うのか。