ドラマスペシャル『北の国から '89帰郷』

12月30日(金)20:00~22:30



 五郎(田中邦衛)は毎夜のようにスナックで酔う。東京で働きながら定時制高校に通う純(吉岡秀隆)が、毎月送金してくれるのがうれしいのだ。それに、螢(中嶋朋子)も早朝まだバスも出ないうちに富良野から旭川まで通い、午前中病院で働いて、そのあと看護学校で勉強して夜になって帰ってくる。五郎が朝晩駅まで送り迎えしてやるのだが、螢のそんなけなげさも父親としてたまらないのだ。

 近頃五郎は、まとめて購入したスプルスの丸太材をひとりでせっせと削り始めている。いずれ子供たちが巣立った後のためにもう一度丸太小屋を作るつもりなのだった。

 螢は、同じ汽車に乗り合わせる予備校生の勇次(緒形直人)と、いつしか車中のひそかな逢瀬を楽しむようになってゆく。駅前の車の中からそれと気づいた五郎は、黙ってそれを見守るのだった。

 東京では、純は定時制高校の級友や外の仲間たちとバイクを乗り回し、遂には髪を赤く染めてしまっていた。昼の勤めも何度か変わり、今は親友アカマンと自動車修理工場で働いていた。髪を染めたのには、叔母の雪子(竹下景子)も叔父(村井国夫)も眉をひそめるが、純には純の、大都会東京にとけ込むための努力でもあったのだ。純は400ccのバイクを安く売るという男を紹介され、現在乗っている250ccバイクの下取り、帰郷のために貯めた旅費などをかき集めて算段するが、まだ5万円ほど足りない。暴走族幹部の妹エリ(洞口依子)の口利きでようやく400ccを手に入れ、得意になる純。だが、そのバイクは盗品で、純は警察に調べられる。おまけに、工場のロッカーから定期入れにしまっておいた万札2枚が盗まれた。純が北海道を出る時に五郎が渡してくれた泥のついた札だ。純は父親へのせめてもの思いから、その2万円だけは手をつけず、小さく日付を書き入れ、お守りのように大事にしていたのだ。狂気のように探す純。盗んだのはアカマンだった。工場の先輩水谷に借金返済を迫られ、脅され、切羽詰まって盗んだのだ。純はその万札だけは、と水谷に懇願するが、逆に殴られ、蹴られ、純は夢中でバールをつかんで水谷に殴りかかり傷害事件を起こしてしまった。警察から雪子夫婦に引き取られた純は、「僕は決して不良じゃない!」と叫ぶ。純は純なりに懸命に生きているつもりだった。

 純はエリの協力で、あの万札の行方を、泥と日付を頼りに必死に追い、遂に探し出す。純の心はボロボロに傷つき、富良野に帰りたいと切に思う。だが、赤く染めた頭でどうして今さら帰れようか。

 しかし、富良野の五郎のもとに当然警察から純の傷害事件は知らされた。五郎は息をのむが、黙って純を東京から帰らせた。赤い髪で疲れ果てて眠りこける純に、五郎は何も言わなかった。五郎から事情を聞いた草太(岩城滉一)、アイコ(美保純)、新吉(ガッツ石松)、クマ(南雲佑介)らが、純をつかまえて頭を黒く染め直してしまう。これら故郷の人たちの口は悪いが何ともいえぬ温かさに、純はほのぼのと救われた気持ちになるのだった。そんな純に、五郎は螢の初恋のことを話す。



<出演者>
黒板五郎:田中邦衛
黒板純:吉岡秀隆
黒板螢:中嶋朋子
井関雪子:竹下景子
井関利彦:村井国夫
北村草太:岩城滉一
中畑和夫:地井武男
中畑みずえ:清水まゆみ
和久井勇次:緒形直人
勇次の伯母:正司照枝
大里れい:横山めぐみ
 
飯田アイコ:美保純
飯田広介:古本新之輔
チンタ:永堀剛敏
吉本友子:今野照子
吉本友子:今野照子
松下豪介:南雲佑介
宮田寛次:布施博
エリ:洞口依子
ほか
<スタッフ>
原作・脚本:倉本 聰
音楽:さだまさし
プロデューサー:山田良明
撮影:竹越由幸
美術:根本研二
照明:本間利明
音声:西田貞雄
演出:杉田成道
制作:フジテレビ