一滴の向こう側

今までの放送

第65回 まちかんてぃ オジィとオバァの夜間中学

沖縄県。太平洋戦争で、住民を巻き込んだ激しい地上戦の戦場となったこの地には、戦後70年以上経った今でも、その爪痕が残っている。
子供の頃に学校に行けず、未だに文字の読み書きがおぼつかないお年寄りが多くいるのだ。
そんな沖縄の現状をなんとかしたいと、夜間中学校を作った人がいる。
星野人史、68歳。2004年4月に開講して以来、71人のお年寄りに、文字の読み書きを教えてきた。
この学校を卒業した人は、「60年、まちかんてぃ(待ちかねていた)」と今も感謝する。
ここは人生の忘れ物を取り戻す場所。

星野人史

東京都出身。
埼玉県の私立高校で校長を務めていたが、沖縄に魅了され、移り住む。そこで学びを求める子供達のために2001年、フリースクール「珊瑚舎スコーレ」を立ち上げる。
その活動の中で、沖縄には戦争の影響で教育を受けられなかった高齢者が多いことに気づき、2004年夜間中学校を立ち上げた。



前編 2017年1月7日(土) 22:00~22:30

 星野が作った夜間中学校に通うお年寄りは、現在20名。
今年入学した生徒の中に、入学前は平仮名を書くことが難しかった男性がいる。
彼もまた、戦後の貧しさの中で、子供の頃、勉強ができなかったと言う。
4月に入学して7カ月。
彼は、なんとか平仮名が書けるようになり、
文字の書く喜びを噛み締めていた。

これまで、たくさんのお年寄りに文字を書く喜びを教えてきた星野。
1年半前に舌がんが見つかっていた。
手術は成功したが、次に再発すれば、喋れなくなるかもしれないと
医師から告げられていた。
それでもなお、夜間中学校を続ける星野。
何が彼をそこまで突き動かすのか。



後編 2017年1月14日(土) 22:00~22:30

 2016年11月下旬。
夜間中学校では、
1年に1度の特別授業が行われた。
それは、年賀状作り。
生徒たちは、年賀状を思い思いに作っていく。
「(年賀状を)もらったことも送ったこともない」と言うひとりの男性。
彼はこの学校に通うようになり、
文字を書けるようになった今、
生まれて初めて年賀状を書こうとしていた。