一滴の向こう側

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あれから3年 東北に春が来た!

 長年、読み込んで古くなってしまった本。そんな、破れたり疵がついてしまった大切な本をもとの姿に戻す“本のお医者さん”と呼ばれている齋藤英世。本に恩返しをしたいと、6年前に本の修理を請け負うブックスドクターを開業。
 これまで岡本太郎氏や山下清氏などの名だたる作家の作品を修復してきた、“絵画修復家”青木享起。60歳を手前に絵に携わる仕事をしたいとイタリアに渡り絵画修復の学校で技術を習得。
 今回は、4週にわたって“もとの姿を取り戻す”という想いに駆られた2人の情熱に迫る。

齋藤英世

山形県酒田市の製本会社ウェルボン 代表取締役
・この道40年以上のベテラン。長年製本業に携わってきた中で“本に対する恩返しをしたい”と6年前に本の修理を請け負うブックスドクターを開業。同時に、製本業の機械化が進む昨今、原点回帰となる手作業による修理の技術をスタッフにも伝えている。“本を大切にする心を大事に”との想いと共に、これまでに約2000冊もの本の持ち主を笑顔にしてきた。
・本の修理はそれぞれ状態が違うため、修理内容もまちまち。思い入れのある本などは特に慎重になり、プレッシャーもかかる。

青木享起

青木絵画修復工房 絵画修復家
・広島県 尾道市出身。
・航空会社に勤めていたが、60歳を手前に兼ねてから絵に携わる仕事をしたいという夢を叶えるためイタリアに渡り、絵画修復の学校でその技術を習得する。
・「絵は家族の一員」との考えから 分け隔てなく様々な絵の修復を行っている。

第1話 2014年3月1日(土) 22:00~22:30

 山形県酒田市にある株式会社ウェルボンの代表、齋藤英世。主な仕事は印刷物を本に仕上げる製本業だが、6年前から本を修理する“本のお医者さん ブックスドクター”を始めた。
そんな齋藤の元に送られてきた1冊の本。それは表紙がなくなり、背表紙はむき出しになり、長年使いこまれた旧約聖書だった。その依頼主は「40年間をともにした私の命」と語る本。果たして、齋藤はどのように修理していくのか。
 神奈川県横浜市にある絵画修復工房「青木絵画修復工房」。この工房を取り仕切るのが、青木享起。もともと日本航空の運航管理者だった青木は、昔から大好きだった絵の世界への憧れが強くなり60歳を手前に一念発起。イタリアに渡り、絵画修復の学校で技術を学んだ。
 青木は、新たな絵画の修復に取り掛かる。それは、依頼者の祖父が大切にしていたという80年前の油絵だった。

第2話 2014年3月8日(土) 22:00~22:30

 齋藤が一切妥協を許さず、1か月の修理を終え完成した旧誓約書。果たして依頼主は満足してくれるのだろうか?
 そしてまた齋藤の元には新たな依頼が…。それは「外国製の車の絵本」。背表紙はなく、傷みはひどい状態。ページの根元から数センチなくなっている箇所や破けている箇所があり、応急処置をしたセロハンテープも劣化している。齋藤はどんな方法で修理に挑むのか?
 青木に託されたのは、金沢重治作「桜林(おうりん)」という絵画。そこにはキャンバスを横断する程の裂け目が入っていた。昭和初期に描かれたこの油絵は、依頼主が祖父から譲り受けた大切な形見。早速作業に取り掛かる青木。絵画修復は、気の遠くなる作業の連続。ミリ単位の作業が多いため、気を抜くことは一瞬たりともない。

第3話 2014年3月15日(土) 22:00~22:30

 本の修理の基本は、製本する前の状態に戻すこと。そのため、パーツごとにバラバラに分解していく。今回齋藤は、「糸かがり製本」という方法で車の絵本を修理していく。ページの束を2つ折りにして、いくつかの「折丁(おりちょう)」を作り、糸で縫っていく。この方法であれば、ページのつなぎ部分に穴を空けないため絵が欠けてしまうことはない。さらに、斎藤にはある秘策が…。
 絵の具の盛り上がりや絵筆のタッチなど、画家が残した筆跡を読み取りながら、特殊な石膏を彫刻刀で削っていく青木。そして、いよいよ仕上げの作業。石膏で再現した筆跡に絵の具を混ぜ合わせて、画家の選んだ色を探し当てていく。慎重に色を重ねていくが、青木は手を止め、工房のメンバーを集めだした。一体、何をしようとしているのだろうか。

第4話 2014年3月22日(土) 22:00~22:30

 ロシア語辞典の修理を始める齋藤。依頼主が50年間愛用してきたこの辞典は、かなり使い込まれた跡があり、表紙と中身も外れてしまっている。一体、どう修理をすれば依頼者が一番喜んでくれるのか悩む齋藤。キレイに仕上げるべきか?それとも、あえて50年間の汚れを残したまま製本すべきか? 齋藤の答えは・・・
 修復前に撮影した写真と見比べ、元の姿に近づけていく青木。一番の難関は、作者が表現した木漏れ日。納得できない部分は何度もキャンパスの角度を変えて色を確認する。
 作業開始から約1カ月をかけ、ようやく完成。青木が直接依頼者の元へ届けに行く。果たして、喜んでもらえるのか。