こんばんは!
12月16日、新国立劇場で舞台を観てきました。
観劇した作品は、長塚圭史さん作・演出の「かがみのかなたはたなかのなかに」。
ざっくり言うと、「たなか」とその鏡の中の存在である「かなた」が、汚い女(?)「こいけ」の鏡の中の存在である「けいこ」を奪い合うという、鏡の外と内が交錯するちょっと不思議なお話です。(以後ネタバレも含みますのでご注意下さい!)
作中では、ペアでまるで本当に鏡かのように左右対称の動きやダンスををする場面が多くあり、ピッタリ揃う二人に感心します。しかしそうかと思えば、鏡の向こうの「かなた」が「たなか」と違う動きをしてしまう(もちろんわざと)、ついクスッとなってしまうシーンも。長塚圭史さんが女装して演じる「こいけ」は、鏡の「けいこ」(松たか子さん)が自分の姿だと思っていて自信満々なのも、長塚さんの演技も相まって面白いです。
途中まではこんな風にコミカルなストーリーなのですが、終盤から徐々に雲行きが怪しくなっていきます。
なんと、「たなか」と「かなた」が邪魔な「こいけ」を海に突き落とし、存在を消してしまうのです…!
それから「たなか」と「かなた」の二人が「けいこ」を奪い合いますが、らちがあきません。
そこで、二人は「けいこ」を刃物で半分にしてしまいます!!
結果、「けいこ」は鏡の内と外の境界線上でしか生きられない状態になってしまうのです…。
前半とは打って変わって後半はこの恐ろしい展開に。こうして物語を振り返ってみると、ちょっとだけ(本家版の)グリム童話みたいだなとも思います。
刃物が出てきてからは「え、正気??」と驚き。
僕がこういう舞台をあまり観たことがないのもあるかもしれませんが、その場では展開への理解が追い付かず、終演したときは茫然自失。帰り道に物語を反芻しているうちにようやく腑に落ちたという感じです。
あれから一週間以上たった今では、僕の頭の中は「もう一回あの作品を観てみたい」という気持ちでいっぱいになっています。こうして作品のあらすじや感想を書き起こしていると、なおさら強まってきました。
ただ、既に公演期間は終わってしまったそうなので、またの再演を望もうと思います。長塚さんの他の作品も気になるので、観に行きたいです…!
阿部知代さんとランチをご一緒した際、食堂のテレビに映った松たか子さんを見て、
「松さんがテレビとはまた違う魅力があって素敵で、ダンサーならダンスも楽しめると思う」と勧めてくださったのがきっかけで観たこの舞台。確かに松さんは柔らかい雰囲気が魅力的で、他の演者さんも素敵なとても楽しい舞台でした。素敵な舞台を紹介してくださったことに、感謝です。