主演をつとめるのは「善徳女王」のトンマン役でアジアのトップ女優の座を手にしたイ・ヨウォン。明と暗の性格を持った2人の人物を共存させる難役を見事に演じ切り、私生活では1児の母だとは思えない可憐さでも話題を集めた。彼女とせつないラブストーリーを繰り広げる相手は「薯童謡[ソドンヨ]」のチョ・ヒョンジェで、除隊後の復帰作として数あるオファーの中から本作を選択。本来の繊細なイメージに男らしさや深みが加わったと評価され、献身的にヒロインを想う姿が女性視聴者の胸を熱くした。
 さらには「華麗なる遺産」のペ・スビンと「鉄の王 キム・スロ」のソ・ジヘというトップスターがヒール役で出演するという贅沢ぶり。また本作が初の大役でありながら愛くるしく利発な演技で好評価を受けたナム・ギュリや、作品ごとに成長を遂げるチョン・イルが奇想天外なキャラクターを演じるなど、若手の有望株の存在感からも目が離せない。脇を固める俳優陣にチェ・ジョンウ、ユ・ジイン、パン・ヒョジョンら「華麗なる遺産」ファミリーが登場するのもファンにはうれしいポイントだ。


 日本でも大反響を巻き起こした「華麗なる遺産」と「検事プリンセス」のソ・ヒョンギョンがシナリオを担当。状況によってストーリーが変わるのが通例の韓国ドラマにおいては珍しく、あらかじめ全体の構想を細かく練るというソ作家の作品は、あちこちに巧妙な仕掛けが組み込まれているのが特徴だ。パズルを解くようなスリルと、予想を覆す展開の数々、最後まで読めない結末に韓国では熱狂的にはまる“中毒者”が続出。あのBoAもマニアであることをTwitterで公言して話題になった。豪華キャストと作品のクオリティがともなった本作には当然、日本側も注目。権利獲得のため各社が争奪戦を繰り広げたのは言うまでもない。


 死に49日の猶予が与えられることから始まる物語が伝えるメッセージは、死と向き合うことで知る生命の尊さ。生を望むジヒョンと生を放棄するイギョンという対照的な2人のヒロインが影響を与え合って成長する過程を通じて、1日1日を生きることの喜びに気づかせてくれる感動作だ。さらに本作はジヒョンをとりまく人間模様を繊細に描くことで遺される側と逝く側の心理にまで迫り、多くの視聴者の共感を呼んだ。
 タイトルや“憑依”という素材から重いドラマと想像されがちだが、一度見るとその予想は大きく覆される。“ミス・ポシティブ”とのあだ名を持つジヒョンは、過酷な状況にもめげないパワーの持ち主。また、死神的な役割で登場するスケジューラーも古来のイメージとは違う自由奔放なキャラクターとして描かれ、ふたりが言いたい放題言い合うシーンは明るく痛快だ。重いテーマを軽快に描いた点も本作が高く評価された要因のひとつなのである。


 脳死状態になってから婚約者の裏切りを知り、代わりにガンの優しさと深い愛情を知ったジヒョン。物語はやがてイギョンの身体を借りたジヒョンと、ジヒョンの魂の存在に気がつき始めたガンのラブストーリーに発展するが、2人の愛が成就するためにはジヒョンが生き返ることが必要。自分が逝くことを想定して気持ちを隠すジヒョンと、想いを伝えるためにジヒョンを生き返らせようと奔走するガンのお互いを思いやる愛がたまらなくせつない。さらに、イギョンと亡き恋人にまつわる意外な真相も徐々に明かされ、生と死の岐路に置かれた2つの純愛ストーリーに韓国中が涙した。