全長443.8キロ、北海道で最長路線の根室本線は屯田兵開拓の町、滝川から日本の最東端、根室まで延びる単線・非電化の路線。全線を走破する列車は1本もない。滝川方面からの列車は帯広や釧路止まり。そこから先、根室へは「花咲線」の愛称があり、別路線の趣きだ。滝川発の列車は空地(そらち)川に沿って初夏にはラベンダーが咲き誇る富良野。
 そして、映画「鉄道員(ぽっぽや)」のセットが残る幾寅(いくとら)を通り、新狩勝トンネル内で石勝(せきしょう)線と合流する。ここで、札幌方面からの特急おおぞらや特急とかちが根室本線に入る。列車は日本三大車窓の絶景を見ながら新得、帯広、池田を経由して厚内(あつない)からは太平洋に沿って釧路へ向かう。ここから先の根室本線は民家も途絶え、湿原や荒野の中を走る。車窓からエゾシカとも出会える。気が付くと広い大地にレール以外、人工物は一切ない。「最果て」よりも「この世の果て」という眺めだ。東経145度36分05秒、ここが日本最東端の東根室駅。そして次が終点の根室だ。今回は見所満載の根室本線を紹介する。